時間を生み出すにはまず、マルチタスクを諦めることから
フラスコ代表、安田です。マルチタスクって、憧れますよね。同時にいくつもの作業を進められたら、どんなに仕事が進むことか。でもどうやらそれ、無理なんですよねっていう話です。
マルチタスクとシングルタスク
まず、言葉の定義からです。マルチタスクというのは、複数の作業を同時に並行で進めることです。シングルタスクというのはこれと対象的に、同時に一つのことに集中することです。
例えば私は今ブログを書いていますが、セミナーのコンテンツを作ったり、妻の話や音楽を聞いたり、電子書籍の執筆もしたいと考えていたりするわけです。
「忙しい」という人ほど、このマルチタスクをやろうとしがちです。音楽を聴きながらブログを書きかけてたまに本を書いて、セミナーを作って・・・みたいな。マルチタスクだと確かに仕事ができる感じ、しますよね。
でもこれ、実はとても効率が悪いんですよね。
脳はマルチタスクできない
脳の仕組みはかなり研究で明らかになってきていて、マルチタスクというのはできない、ということになってきています。本で言えば『エッセンシャル思考』『シングルタスク』あたりがここをテーマにしていて、参考になります。
まあでも、聞くところによると落合陽一さんは難しい議論をしながら英語で論文を書いたりしているらしいので、一部の天才的な人はマルチタスクが高いクオリティでできるのかもしれないです。通常は、それができたとしても議論か論文のどちらかの質が落ちるはずです。
私もYouTubeでお笑いを聴きながらブログを書くということを実験で一時期やってみましたが、できなくはないけれどもブログの質が落ちるな、というのが率直な感想です。だらだら書くくらいはできますが、構成を考えたりオチから逆算して書いたりといった「編集能力」が著しく低下する感じですね。
使う部分が違えば可能
なので天才は例外として、通常の人間は脳の同じ「論理」の部分を使う作業は並列ではできない、というのが私の結論です。一方でジムで自転車のマシンに乗りながら本を読んだりとか、サウナに入って考えるとか、歌詞の理解できない音楽を聴きながら書き物をする、くらいはどうやらできそうです。
「そうは言っても、サラリーマンをしていたら上司から、たくさんの作業を同時に振られるじゃないか」
という悲鳴が聞こえてきそうですが、そういう意味では仕事をしていたらいつでもマルチタスクをこなさなくてはいけません。私には上司はいませんが、進めるべきプロジェクトをいくつも抱えながら、トラブルが発生したり返信が必要なメッセージが来たりはします。
それでも、優秀とされる人はほぼ例外なく、そういった「マルチタスク」に見える状況をシングルタスク化して、ひとつつひとつのタスクを品質高く仕上げている(あるいはやらないことを明確にしている)のです。
あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ
悪い意味でマルチタスクになっているときは、あらゆる作業が中途半端になっていて、本人が混乱しているだけなのです。この状態を指して良く「忙しい」という表現が使われます。私もサラリーマン時代はそうでした。少し離れて俯瞰して見れば大したことはないのですが、本人がいっぱいいっぱいになってしまっているんですね。
まあ、新入社員がこんな感じになるのは仕方ありません。やることなすことが初めてで、どれくらい時間がかかるかも読めませんから。ミスも多いので手戻りもあるでしょう。客観的に、整理してあげる必要があります。というか、そのために上司がいるのです。
起業家はもちろん、サラリーマンでも何年も仕事をしているのであれば、この「マルチタスクで作業がどれも進まない」という状況は許されません。上司の力も借りながら、ある程度は自分で整理して、シングルタスクに分解していく必要があります。
書き出して整理し、目の前のタスクに集中する
「マルチタスクはできない」と諦めたら、どうやってシングルタスクの状況を作り出すかですが、そのために必要なのが「今抱えているタスクを書き出す」というプロセスです。日々のルーチンやプライベートも含めて、やることをすべてノートやフセンにリストアップするのです。タスクは細かく分割し、30分単位で作業時間を見積もります。
そして本当にやらなくてはいけないこと、重要なことを絞り込んで優先順位付けをして、「一つずつ片付けていく」のです。シングルタスクですね。やることを全て書き出すことにより、あれもこれもやらなきゃという思考の負担から脳を解放してあげましょう。
こういう習慣を身につけることで、その日やらなくてはいけないことが漏れるということはなくなり、徐々に「重要だが緊急ではないこと」に手が回るようになっていきます。そして何より「やらないこと」を決めることで膨大な時間を生み出すことができます。
それよりも何よりも、あなたがどうなりたい、どうありたいのかが重要になってくるわけですが。最後に、ドラッカーさんの名言を贈ります。「もともとすべきでなかったことを、能率・効率よく行なうことほど、無駄なことはない。」・・・まさにこれですよ!