「影響の輪」の中に集中する
フラスコ代表、安田です。私は米大統領選挙の結果に興味がありませんし、オリンピックにすら興味がありませんでした。いずれも影響の輪の外にあり、自分の人生にはほとんど影響がないと考えているからです。
ニュースに一喜一憂する人たち
今回の大統領選挙は大接戦で不正だ脱税だととても盛り上がっていますし、エンターテイメントとしてはすごく面白いですよね。私もざっくりと情報を追ってはいます。両陣営がどんな手を打ってどんな対応をするのかなど、何らかの教訓は得られると期待してもいます。
ただ、それらのニュースに一喜一憂し、大騒ぎをしている人には違和感を感じます。どちらかの陣営に関与しているとか、せめて大口の投資家で株価による影響を受けるというならまだわかるのですが、大部分の人はどちらが勝っても生活にさほど影響がないだろうと思うんですよね。
あ、もしかしてどっちかにお金を賭けてるんですかね。だったらまあ、純粋なエンターテイメントとして盛り上がるなら、良いのかな。競馬場で叫ぶ時間が有意義だ、と主張されたらそれを否定するのはなかなか勇気がいりますね。でもまあ、何のポジションもないのに騒いでいる人もたくさんいることでしょう。
関心の輪と影響の輪
関心の輪と影響の輪というのはスティーブン・コヴィー『7つの習慣』に出てくる言葉です。知っていること、知りうることが関心の輪で、自分が結果を変えられること、影響を与えうることが影響の輪ですね。
人は関心の輪の中で影響の輪の外にあること(同心円で、通常は関心の輪の方が大きい)にエネルギーを使いがちなんだけど、これあんまり意味ないよと。それよりは、影響の輪の中にあることに集中して改善し、成果を出すことで影響の輪を拡げていこうぜと。簡単にいうとこういう考え方です。
なので例えば私が億万長者でアメリカに資産を保有しているとか、ブラジルあたりに大農園を持っているとかだったらどっちが大統領になるのかは大いに関心があり、また影響も与えうるので関与しても良いんです。実際、寄付金などで選挙結果に一石を投じることもできるでしょう。それでも、ひっくり返すまでは無理と思いますが。
そうでないなら、そこに使うエネルギーをもっと自分が影響を与えられることに投下した方が良いんじゃないのということですね。芸能人が不倫をしたとかホリエモンがお店に文句を言ったとか、あなたの人生とは多分関係ないじゃないですか。
関心の輪を広げるのは良いこと
ここで誤解をして欲しくないのは、ニュースなんて見るなと言っているわけではないんです。情報を集めること自体は関心の輪を拡げる行為なので、それは別に良いんです。むしろ、影響の輪を拡げていこうと思ったら幅広い情報は必須です。世間のことを知っておく必要自体は、あります。
情報を遮断し、新聞を捨ててインターネットを捨てモノを捨ててミニマリストのような生活をしたとしたら、関心の輪は小さくなり、それに従って影響の輪も小さくなることでしょう。自分だけが幸せなら、それ以外はどうでも良いということを言いたいわけではないのです。
米国大統領選挙も、もしかしたらもっと良く私が知っていけば、自分の生活に与える影響は大きいのかもしれません。そして、SNSで真剣に議論をすることで、ちょっとだけ世界を変えられるのかもしれない。影響の輪は、自分でイメージしているより実はすごく大きいのかもしれない。
そう信じて行動している人を、全否定することはしないでおこうと思います。政治の話は、センシティブですしね。ただ私は、影響の輪に集中するという考え方がとても合理的だなと感じているし、そのように行動しようと決めているということです。
有限な資源をどこに配分するか
リソースが無限なら、あらゆることに首を突っ込んでいく姿勢も悪くはないでしょう。しかし時間や体力、知的能力は有限な資源です。できる限りあなたのビジネスに、集中すべきです。英語には「It’s none of your business」という表現があって「余計なお世話だ」みたいな意味になりますが、まさにそれ。
あなたのビジネスではないことで、エネルギーを浪費するのはやめましょう。繰り返しますが、エンターテイメントと割り切って楽しむなら構いません。ムダにも価値があるという考え方もありますしね。節度を持って楽しみましょう。私は体力に自信がないので、資源配分にはことさらナーバスなんです。
でも自分のことならともかく、あなたの行動にまで口を出すのはそれこそ「None of my business」ですね。私自身の影響の輪がどこまでなのか、行動したいのにできない人をどこまで救えるだろうかと、このところ考えることが多かったので。つい余計なことを書きました。どうか、お気になさらず。