サラリーマンのこんな「努力」は効率が悪い
フラスコ代表、安田です。私もそうでしたが、まじめなサラリーマンってとにかく「努力」するんですよね。今は苦しくても、努力は必ず報われるという人生観があったりします。仕事を頑張ったり資格を取ったり。でもその努力、正しいでしょうか。
仕事を頑張る
これ、努力の王道でしょう。仕事でどんなにつらいことがあっても、それを糧として仕事で頑張る。そうすればいつか報われると。上司や先輩は昔は苦労して、今があると。ストーリーとしてはわかりやすいですよね。私は、それがムダだとは言いません。特に若い方であれば、人生にはそういう時期があるべきだと考えています。
起業や副業の相談を受けても、ブラック企業などのよほどひどい職場でない限りは「本業の手は抜かないこと」というアドバイスをすることが普通です。いやむしろ「今は副業はほどほどで良いので、本業に没頭すべき」ということをお伝えすることもあるくらいです。
ただ、仕事を頑張ってさえいたら必ず評価され、報われるかというとそんなこともないと思います。サラリーマンとしてある程度のレベルに達したら、あとはそれ以外の要素が複雑に絡み合う、ミクロン単位の戦いになります。運の要素も大きいです。仕事を頑張るのは評価されるためというよりは、ビジネス的なスキルを磨くためと考えたほうが良いでしょう。
資格を取る
それで、ある程度はそういう構造が見えてくると、社内の評価だけでなく「市場価値」が重要だと考え始めます。でも市場価値と言っても同じ会社で働いている限り、何が市場価値なのか良くわからないので、とりあえず資格を取ろうかなんて考えるんですね。サラリーマンあるあるです。
私も資格に関してはかなり「頑張った」方で、取った資格は簿記から始まってファイナンシャルプランナー、証券アナリスト、ソフトウェア開発技術者、オラクル、中小企業診断士、TOEIC800点などなど。チャレンジしたのはその他に、公認会計士、米国証券アナリストなどなど。投資した金額は数百万円は下りませんし、時間はもっとすごいです。
それで社内的な評価が上がったかというと、むしろ「資格マニア」みたいになって少し下がったような。では起業をする際に役に立ったかと言えば、それも微妙です。安心材料や商品開発の際の素材にはなっていますが、それくらいです。多くの資格は更新せずに返上してしまいましたし、直接的に使っている資格は一つもありませんからね。
上司にゴマをする
もしかしたらこれが、一番効果的なサラリーマンハックかもしれません。私はどうしてもできなかったので検証されていませんが、まあゴマをするとかヨイショするという風にネガティブに捉えず、上司や同僚との人間関係を改善する、と考えるとその効果は高いような気はします。
特に何もしなくても上司に気に入られるという人は、サラリーマンに向いています。思えば私は小さな頃から、学校の先生に好かれたことがありません。人からの指示で動くことが好きではない。そもそもそれをやる意義は何か、などつい考えて、考えるだけならまだしも口に出してしまいます。
もしサラリーマン時代にコーチングの技術を知っていて、それを活かして人間関係を円滑にすることに全エネルギーを使っていたら、と考えることもあります。・・・でもまあ、それだけで疲れ切っていたでしょうね。やはり私は、根っからの起業家気質というか、徹底的にサラリーマンが合わないということだと思います。
ビジネススクールや英会話スクールに通う
ちょっと脇道にそれたのでもとに戻すと、あとはビジネススクールや英会話スクールも有力な「自己研鑽」の方法です。私もこれ、会社の制度を利用して通ったりしました。ビジネススクールは海外のMBAで学ぶようなことを、意識の高い仲間とチームでケーススタディーしたりして、楽しいんです。
クリティカルシンキングとかマーケティングとか、ビジネスで使うことがなんとなく身についたような気分になる。誤解を恐れずに言えばビジネススクールの効果はこれじゃないでしょうか。MBAの取得を進めている経営者で優秀な人って、あんまり見たことがないんですよね。英語と国際感覚を身につけるための海外留学なら、まだ良いかなと思いますが。
そういう意味では、英会話スクールもいまいちなんですよね。英語を身につけるためには、海外で暮らすのが一番なので。「いつか、使うかもしれないから」という程度の意識でどんなに勉強しても、身につくものには限界がありますよね。海外留学で「英語を使えないと生き残れない」という必死さがあれば、それは機能するかなって思うんです。
ゴールはどこか?
今まで述べてきた「努力」の手法の問題点は、「稼ぐ力」が身につかないことです。頑張っているときってある種の快感があって、それ自体にストレス解消効果はある気がします。だから、頑張ることを否定はしません。どれもやらないよりは、やった方が良いかなって思います。
ただもしあなたが自由になりたいのであれば、そのゴールから逆算して考えて、「稼ぐ力」を身につけることができる「努力」の仕方をした方が良いですよ。勉強するにしても、セールスやプレゼンテーション、エクセルやパワポなど仕事に直結する勉強をした方がまだしもです。でもなぜか、抽象度の高い学問的なことを、選んでしまいがちなんですよね。
そして一番良いのは、自分でビジネスの実験を始めて経験を積みつつ「稼ぐ力」に直結する知識・ノウハウを学ぶことです。それは本業にも必ず良い影響を及ぼしますし、何より将来の「選択肢」が増えます。本業の手を抜かず、同時に「稼ぐ力」を身につけるための投資をする。これからはこういう選択をする人が、本業のビジネスでも成功していく時代です。