コロナ禍を「ただ、耐え忍ぶ」という考え方は危ない
フラスコ代表、安田です。緊急事態宣言はどうやら5月末まで延長、経済や人々の行動の「正常化」のメドが立たない中で、どのような行動を取るべきでしょうか。「ただ、耐え忍ぶ」ことで惨禍が過ぎ去るのを待つという人が多いかもしれませんが、それはちょっと危険な発想かもしれません。
コロナの影響は長引く可能性が高い
みなさんは、まさか連休が明けたら5/7からフルパワーで経済活動ができると考えてはいませんでしたよね?私自身はそんなことは全く期待しておらず、それどころか結構な割合で、「とにかく今はもう、どうしようもない。ただ耐えて、落ち着いてから頑張ろう」と考えている人が存在することを知って、驚いています。
海外の動きを見ていても、完全な封じ込めを目指すのであれば収束まではまだ時間がかかることは明確ですし、かといって今自粛を緩めれば元の木阿弥、一気に感染者数が増えることは自明でしょう。数万人の死者を許容して集団免疫の獲得を目指す、という戦略は日本では取り得ないと思います。
そうであるならば、今はひたすら自粛で時間稼ぎをして、本格的な収束はワクチンが普及する1〜2年先ということになるでしょう。個人的には、もし夏にウィルスの活動が弱まることが確認できたら、一時的に自粛を解除して積極的に感染をしていく戦略はある気がしますが、これは知識もない分野なので無責任なことは言えません。
我々はもう、「元の世界」には戻れない
問題はそのあとです。楽観的に見て1年間自粛をすることで経済活動を復活させることができるとして、もう元の世界には戻れないということです。リモートワークやハンコの廃止などはある意味で進歩しましたし、リアルのイベントも一時的には反動需要が出るかもしれませんが、今までとはあり方が違ってくることでしょう。
これは良い変化で、つまり人類が少しだけ賢くなったということですね。これから10年、20年かけてじわじわと変えるはずだった様々な価値観が、コロナショックで一気に進んだ。今回淘汰されてしまった業種は、コロナが落ち着いても完全に復活することはないでしょう。厳しい言い方をすれば、今までぎりぎりでやっていたところが潰れただけ、という気もします。
悪い方は、新型コロナウィルスのようなウィルスは、これからいくらでも出てくるということです。経済のグローバル化が進んでヒト・モノ・カネ・情報が自由に世界中を飛び交う世界では、不可避です。経済の仕組み自体が、グローバルからブロック化の方向に巻き戻る流れになりそうです。このことからもやはり、時代に適応できるビジネスは変わってきます。
影響が永遠に続く、くらいの前提が妥当
ということで、それぞれウィズコロナ・アフターコロナなんて言って散々議論されていることではありますが、これらは一般に出回っている情報からごく普通に予測される近い未来の話です。私自身、明日にでも圧倒的に強力で副作用のない特効薬やワクチンが開発されてあっという間に全世界に普及するという「奇跡」を願いますが、その可能性はとても低そうです。
これらを踏まえれば、冒頭の「とにかく今は何もせず、耐え忍ぶ」という考え方が危険なのはおわかり頂けることでしょう。コロナは単に一時的な災禍というだけではなく、恒久的な環境の変化でもあると捉えるべきです。今起こっている変化の一部分は、影響が永遠に続くということなのです。そうであるならば、変化すべきは私達自身の方です。
少なくともその可能性があると考えて備えておく方が、安全だとは思いませんか。これが杞憂で、6月から以前の通りに経済が動き出すのだとしたらそれはラッキー、そうなっても備えておいたことでリスクは増えませんから。最悪のシナリオでも生き残れる、そういう考え方が結局は安全だということです。
今は「実験」をするには最適な環境である
さて、ちょっと悲観的な話になってしまいましたが、私自身はこの環境を単純に「悪い」とは捉えていません。もちろん、本屋さんが閉まって売れるはず(?)だった本の売上が止まっていますし、交流会にも行けないし、セミナーや講座も参加者数は減っています。フラスコからも退会する人が出て、経営的に逆風という面は普通にあります。
それでも、直感的に「この環境は大きなチャンスだ」と感じています。私自身が描いていた理想に到達するにはまだ何年もかかるとイメージしていたのが、コロナショックで手足が縛られた(リアルでの活動が制限された)ことで、ぐっと近づいた感覚があります。段階的に理想に向かうのではなく、最初から理想を実現してしまえば良いと考えられるようになりました。
今の環境は、ある意味で近未来です。全てをオンラインでやり取りし、効率を追求したサービスを提供できる。「ちょっと私はネットは苦手で」とか言い訳をしていた人がZoomに参加せざるを得なくなっていたりする。そこの部分は、パイが急激に大きくなっているんですよね。これは、オンラインサロンを持つにも強い追い風です。
時代は激しく変化していて、今まで通り生きていきたいという人には大きなストレスですが、変化しようと考える人にとっては大きなチャンスです。次の時代に向けた「実験」をするには、今は最高の環境です。ただ耐え忍ぶなんてもったいない。ぜひ、実験しましょう。