売れない本には価値がない
フラスコ代表、安田です。ちょっと炎上しそうなことを書きますが、「売れなくても良いから、価値の高い本を作りたい」っていうひと結構いますよね。でも私は、それって矛盾していると思うんです。あえて断言すれば、売れない本には価値がありません。
本の売れない時代
「本が売れなくなっている」というのは今や共通認識だと思います。出版科学研究所の調査を見て頂ければ、書籍の売上は右肩下がりなのは明確です。書店もばたばた潰れていますし、少なくとも紙の本の売上は、下がる一方だと言えるでしょう。
かといって、「若者は文字を読まない」まで言ったらホントかな?と疑問に思ってしまいます。電子書籍はもちろんのこと、スマホ(SNS)を通じてネット上で文字を読む量をカウントすれば、今の世代が文字を通じて受け取る情報量はむしろ大幅に増えていると私は考えています。
加えて動画や音声といったリッチコンテンツ、ゲームとリアルな娯楽など世界にあふれる情報、紙の本の必要性が下がっているだけで、決して人の知性が下がっているわけではないでしょう。人類はどんどん、賢くなっていると思うんですね。
著者と編集者の情熱と葛藤
本を作る側である著者と編集者は、私もそうですが、それを仕事に選ぶくらいですから本が好きな人が多いです。普段から割とぶ厚めの「骨のある本」を読んでいて、そういう本好きのための「良い本」を作りたいという気持ちは強いんですよね。
しかし実際には、ぶ厚い本は売れません。それはそうでしょう。他にいくらでも娯楽があるのに、わざわざ読むのに何日もかかるような本を手に取るのはよほどの本好きだけで、その数はどうしても限られてしまいます。つまり、売れません。
いきおい売れ筋の本は薄く文字は大きくなり、タイトルには「◯◯が9割!」「誰でも簡単に!」というタイトルが並ぶことになります。実際、そういう本が売れるのであればそれはシンプルに世の中の需要に応えているということですので、そういう本を出す出版社に責任があるとは今は思いません。少し前までは「どうなのかな」と疑問でしたが。
どんな手を使っても・・・は行き過ぎだが
中には「これはやりすぎだな」という本もあります。タイトルだけ煽っていて、中身が全くないスカスカの本です。タイトルと中身が合っていないものすらあります。慣れた人ならぱらぱらとめくって見抜けますが、あまり本を買う習慣のない人は引っかかってしまうでしょう。そしてますます、本が嫌いになっていくという。
しかし、そういう本がベストセラーになることはまずありません。やっぱり評判というものがあって、口コミが起こらない本は早々に淘汰されていきますから。売れている本は多少強引とも思えるやり方をしていたとしても、中身はしっかりしています。
一見ふわふわした書き方をしていても実は構成がしっかりしていて、伝えたいメッセージが明確なんですね。その上で、それを売るためにあらゆる手段を講じている。かといってやりすぎてはダメで、倫理的に行き過ぎた手を使えばしっかりと逆効果になります。世界は合理的にできているのだなと感心します。
本は「出すこと」がゴールではない
中身がしっかりしているぶ厚い本で、部数が伸びない本はあると思います。たとえば学術書とか専門書の類です。しかしそういうものって、商業出版する必要があるでしょうか。論文を書いて大学で講義をするという方法、あるいは講座やオンラインサロンでも作って熱心な人に直接伝える方が、合っているのではと思います。
この本の売れない時代にあえて出版をするということは、いつも接していないような新しい層にメッセージを広げたい、伝えたいという想いがあるから選ぶ手段なのではないでしょうか。だとしたら、売れない本に価値はない、という言い方もあながち間違えてはいないと思うのです。
今回私は「出版記念パーティー」をしないことに決めました。それは、本を出すことを「記念」するという表現が、どうしてもしっくり来なかったからです。それって自己満足じゃないの、と。本は世の中に広がってこそ価値があると思うので、出すことはゴールじゃないという感覚が強いんです。
『新しい副業のかたち』は多くの方に伝えたい
ということで、満を持して宣伝をしますが、『新しい副業のかたち』がいよいよ次の水曜日、10/16(水)に発売です。表紙は少し煽っていますが内容はしっかりしていて、かつ本好きではない人向けにわかりやすく、読みやすく書いています。
普段あまり本を読まないうちの妻が「読みやすい」と言っていたので、ここは大丈夫かと。それもこれもひとえに、できるだけ多くの方に『新しい副業のかたち』というアイディアを伝えたい、届いて欲しいという想いからです。
だまされたと思ってでも良いのでぜひ手に取って、読んでみて欲しいです。本を持参して頂くと無料になるセミナーもやっていますし、セミナーに参加して頂いた方には本をプレゼントします。どうしても文字が苦手(な人はこのブログを読まない?!)、という方はこちらのセミナーにお越しください。どんな手段であれ、あなたに届くと嬉しいです!