本を出したら人生は変わる?!
フラスコ代表、安田です。日程は仮ですが、10/18に『新しい副業のかたち』という本を上梓させて頂くことになりました。なのでまだ本が出てもいないわけですが、本を出したら人生が変わるのか、という点について現時点で考えていることをまとめてみます。
出版は儲からない
まず基本的なポイントとして、出版をしたところで儲かるわけではないというところから始めましょう。この辺、秘密にすることでもなんでもないと思うのですがそれでもなんとなく少しぼかして書くと、ビジネス書が売れて入ってくる印税は1冊あたりせいぜい100円〜150円くらいです。
新人著者であれば、最初に印刷される初版部数は3,000〜5,000部というところでしょうか。仮に単価100円で5,000部としても、初版によって得られる印税は50万円くらいです。ま、数十万円ですね。もちろん大金だとは思いますし、それだけもらえるなら良いじゃないかと感じるかもしれませんが、それにかかる労力を考えると、決して効率が良い稼ぎ方ではありません。
そのあと増刷といって初版部数以上に売れると出版社が判断すれば、追加で印刷をすることでいくらか頂けることもあります。ですが数十万部が売れるという奇跡でもない限り、お金のためにビジネス書を書くということにはなりません。そんな人、ほとんどいないのではないでしょうか。
本はブランディングの強化になるか
ビジネス書を書く目的として多いのは、著者自身のブランディングでしょう。士業などの何かの専門家であれば、本を書いている人だとなれば信頼感が増すので、本を「名刺代わり」に配ることで仕事が得られれば良いという考え方をする人が多いようです。
まだまだ、紙の本のブランド補強力はあるものと思います。本を出していればその分野の第一人者だと誤解してくれる人も多いですし。もちろん「業界」の中ではそんな効果は通用しないのですが、お客さんは業界の人ではないので、本を読んで連絡をくれるという流れは実際にあるでしょう。
なので、ブランディング強化を目的として本を出したい人は多いのですが、著者が書きたいことを書こうとすると世の中にニーズがない内容になりがちなので、企画書段階で苦労する人も多いようです。後述するように、出したところで売れないと・・・という話もあります。
商業出版と自費出版、電子書籍
まだまだ紙の本はと書きましたが、ブランド力強化をするなら商業出版がおすすめです。自分で数百万円を支払って出す自費出版という形もありますし、オンデマンド出版などで電子書籍のみというやりかたもあり、それを推奨する人も多いのですが商業出版と比べるとその効果は数段、落ちます。
もちろん、お客さんの中にはその違いがわからない人も多いのでとりあえずは出しておく、というのもマーケティング上は合理的な判断だなとは思います。ただ、苦労をして商業出版をした私のような人から見ると、「ああ、自費(電子)出版か。表面的なブランディングをする人なのかな」と感じてしまいます。
出版のプロである編集者の方からも、自費出版や電子出版をしている人は全く相手にされないということは覚悟しておいてください。なんて、この辺は私もお会いした出版プロデューサーや編集者の方からの情報によって判断しているので、彼らのポジショントークもあるのかもしれませんが。
ビジネスの「受け皿」があるか
実は私は、商業出版の価値はブランディングよりも、実際にやっているビジネスにいかにつながるかだという視点を持っています。生々しい表現をすれば、本は広告の一部であると考えています。役に立つ知識やノウハウを安く(本は安い!)販売することでやっていることを知って頂き、何か具体的な行動に移して頂くということです。
4年前に起業をしたばかりのとき、なんとか本を出そうとあがいていたのですが実力不足で実現には至りませんでした。でも今思えば、当時無理をして本を出したとしてもその受け皿がなく、本自体もそこまで売れることもなく、何も起こらずに終わった可能性が高かったでしょう。
もちろん本を出したという実績はムダではなく、例えば編集者や著者のネットワークに参加できるというメリットはあったでしょうけれども、フラスコもあるしサークルモデルもある今は、当時と比べて圧倒的に本を出す体制が整ったと感じています。もちろん、まだまだ完璧ではありませんけどね。
1冊目で売れないと、それまで
なんだかんだ言いましたが、本を書くという行為は、私としてはすごくしっくりきます。今はビジネスメインで執筆はその補助という位置づけですが、いずれはより純粋な「作家業」に移行する時期が来る気もします。広告の要素はなく、ただひたすら役に立つだけの本を書きたいという想いもあります。
そうなるにしてもならないにしても、2冊目・3冊目をコンスタントに出していくことはとても大切なことだと考えています。そのためには、どうしても1冊目は売れないといけないという危機感を持っています。安田の本は、売れるという「ブランド」を作って絶対に次につなげていきます。
『新しい副業のかたち』は良い本になったので、できるだけ多くの人に届けたいという気持ちは本当です。その一方で、この本を絶対に売ってやろうという強い気持ちもあるということです。売れたら良いな、ではなく、売ってやろうです。その部分はエゴではありますが、みなさまのお力を、お貸し下さい!