自由な人生を選ぶなら、家族の存在は邪魔になるか
フラスコ代表、安田です。例えば会社を辞めて起業することを考えたとき、「でも妻や子供がいるからなあ・・・」と踏みとどまってしまうのはごく当たり前のことだと思います。自由に生きたいと思ったら、家族の存在は足かせになるのでしょうか。
自由な人生を選ぶということ
そもそも、自由な人生とはなんでしょう。何の責任も負わず、いつもフラフラと心の赴くままに行動していたいというのがその人にとっての自由の定義であれば、家族を持つことは不向きでしょう。どうしても、制約される場面は出てきますから。
できるだけ仕事をしないのが自由だ、と定義してもやはり、家族を持つことにはならないでしょう。稼ぎの良いパートナーを見つけて、女性であれば依存度の高い専業主婦、男性であればヒモ的な生き方をするのであればまた話は別ですが、それが自由と言えるかはやや疑問です。
私にとっての自由は、やりたいと思ったことが全部実行できる、とりわけ望むビジョンを実現できるということです。一人でできることはたかが知れているので結論としては家族の存在はプラスなのですが、それでも「もし家族がいなかったとしたら365日24時間全てをビジネスに投入できるのに」と思うことはあります。
以下、家族がいることのメリット・デメリットを整理してみましょう。
家族がいることのデメリット
起業ということに絞って考えても、デメリットは明確にあります。時間やお金の制約です。結婚しただけであればお互いに自由な感じは保てるかもしれませんが、子供がいるなら休みの日くらいは家族サービスというのが普通でしょう。
生活費の水準も跳ね上がります。自分一人であれば月20万円しかなくても生きていけます。しかし例えば子供が二人いるなら大きめの住居も必要ですし、食費も上がっていきます。学費だ習い事だ通信費だ家族旅行だ、と気がつけば40万円、50万円が消えていきます。
月20万円で生活できる人と月50万円が必要な人とでは、起業をする際の制約条件が大きく異なります。独り身であれば何をするにも「とりあえず死なないからやってみたら良いんじゃないですか」と言えますが、家族がいるならさすがの私も軽々しいことは言えません。しっかり準備してからやりましょう、となります。
家族がいることのメリット
では家族がいることのメリットは何かないでしょうか。ビジネスが軌道に乗るまでの苦しい期間はパートナーに働いてもらう、というのもあるでしょう。まあでもそれはせいぜい金銭面のマイナスを減らすくらいで、メリットとまでは言えないかもしれません。
明確なメリットは他にあります。それは、「心が折れにくくなること」です。上でビジネスが軌道に乗る、という言い方をしましたが、起業は立ち上げてしばらく、もしかしたら3年や5年という比較的長めの期間、方向性が定まらなかったり十分な利益が出ないことは普通にあります。
それならサラリーマンをしている方が収入が大きかった、ということになりますから、だったらこんなに大変な思いをすることはないのではないか、となります。そうやって、道半ばで諦めてしまう人がとても多いのです。もう少し頑張れば鉱脈を掘り当てるかもしれないのに・・・。
家族がいるということは、起業をしてから方向性が見いだせずにフラフラしてしまったり、早々に諦めてしまう弱い心を支える存在があるということです。
私が今、感じていること
私も、別にそんなに頑張ってフラスコを10万人のコミュニティ・プラットフォームにしなくても、食べていけたら良いかなと思うことはあります。「もうこれくらいで良いのでは」とつい妥協しそうになるとき、家族の顔を思い出して「いや、もっとしっかりやろう」と気合を入れ直すんですね。
家族を海外旅行に連れて行ってあげたいとか、便利なところに住んで良い教育を受けさせてあげたいといったことも、より高い価値を世の中に提供していくためのインセンティブになります。なにより、子供たちが成長したときにすごいと言ってもらえる事業を築き上げていきたいと思うんです。
子供がいることで、時間軸が長くなる感覚があります。自分が死んでも終わりではないので、永続する仕組みを作ろうという発想になるんですよね。法人格なので世襲する必要はないのですが、息子とか娘という顔が見える存在がいると、先のことがイメージしやすいんです。
選ぶのは自分自身
そんなわけで私は「こっちの人生」を選んで良かったと心から思っているわけですが、かと言ってサラリーマンの方に「そのままだと不幸になりますよ」と脅すつもりもありません。起業をすれば自由になれる、という単純な話でもありませんから。
サラリーマンをしていても自由な精神を持っている人はたくさんいますし、起業をしていても資金繰りに追われて少しも自由でない人もたくさんいます。大切なのは気持ちの持ちようです。後悔しないように、選んでいけば良いだけのことです。
ただ、後になって「家族がいたから、自分は自由になれなかった」と悔やむのだけは、違うと思います。家族を幸せにするために自分が不幸になる必要なんてありませんし、むしろそれは成り立たないでしょう。家族を幸せにするには、自分が幸せにならないといけません。選ぶのはいつも、あなた自身なんですよ。