定跡からちょっとずらすのが「実験」
フラスコ代表、安田です。今、クラウドファンディングをやってるんですけど、目標額を200万円に設定しているんですね。で、ある人に「なぜそんなに高い金額に設定するのか?」と聞かれたんですけど、実はこれ、ちょっとした実験なんですよね。
クラウドファンディングの定跡
「なぜ200万円なのか」と聞かれて一瞬、意味がわかりませんでした。普通に200万円を目標にしてやっているつもりなのですが、なぜそんなことを効くのだろうと。でも、少し考えると質問の意味がわかりました。もっと低い目標に設定して、達成してから引き上げれば良いではないかということです。
これ、クラファンの定跡なんですよね。基本的に短期決戦なので、立ち上げ時にパーティーをするなどしてできるだけ盛り上げて、知り合いである程度の初速を出す。期限が迫りつつ、「あと少しで達成できる」という機運を盛り上げて一気に達成。その後、さらに高い目標に変更するという。
それが定跡なのは私も知っています。ストーリーで勝負して、共感を集めることで突破するという「現代のクラファン」の性質も良くわかっているつもりです。でもこれ、良く考えるとちょっと変だと思うんですよね。
なぜ支援が瞬発力勝負なのか
言い出した人が(お金はないけれども)ある目標を持っていて、それを集団の力を結集して実現するというのがクラファンの本質です。ビジョンを示すことで多くの人の応援を集めて、一人ではとても実現できないような大きな目標を達成するんです。なぜそれが、瞬発力勝負になるのでしょうか。
じっくりと時間をかけて、理解をしてもらうというスタンスが正しいのではないでしょうか。極端な話、常にクラファンを走らせながら事業をする人がいても良いと私は思います。応援を募る形のオンラインサロンはその発想だと思いますが、クラファンは本来、こういうもののはずなんです。
プラットフォームの都合や世の中の流れで、「クラファンは短期で共感を得る勝負」という定跡ができてしまいましたが、もっとゆったりと構えた、持久走のようなクラファンがあっても良いのではないでしょうか。
定跡を無視するのは自殺行為
とは言え、ビジネスにおいてむやみやたらと定跡を無視するのは自殺行為です。何をするにもある程度、定跡を知り尽くしてそれを踏襲しながら何か「1つだけ」変数を変えていきます。今回だと、時間軸がその変数に当たります。フラスコはそういうことが可能なプラットフォームです。
どんな実験であっても、誰もやったことがない斬新な取り組みをする必要はありません。先人の知恵を徹底的にパクりながら、1つだけ仮説を持って変数を変えるんです。そうすると、その変数がどんな意味を持っていたのかがわかります。もちろん、失敗することも多々あります。
200万円は時間をかければ達成できる
それもありますが、今のフラスコの潜在能力から行けば、時間をかければ200万円くらいは達成できるでしょっていう理由もあります。正直を言えば、時間軸うんぬんはこれで意思決定をしてからの後講釈という気もします。直感的に、時間をかけずに走り抜けることのメリットがない気がするんです。
たとえそのクラファンプロジェクトは達成したとしても、勢いで走り抜けば信用の貯蓄を少し余計に取り崩してしまうという感覚があります。時間をかけて、じっくり考えてもらって決めてもらうのが好きなんですよね、個人的には。できるだけ、人を騙したくないんです。
なので今回のクラファンは本が出版される10月までかけたゆったりしたものですし、目標金額は「本当の目標」である200万円なんです。そう言えば、たとえば仮の目標である50万円を達成したあとに100万円、200万円と目標を引き上げていくのが騙し討ちみたいな気もします。支援をしてくれる人との関係をできるだけ誠実の保ちたいという考えが根底にはあります。
そもそもプラットフォームを作っている時点で
まあ色々と書きましたが、クラファンを成功させるためだけだったら、わざわざプラットフォームを作る必要なんてありません。有力なプラットフォームを使って、素直に定跡通りやれば良い。それでもできるだけ真理を知りたいし、理想を追い求めたいので自前で作っていたりします。
フラスコは最初から、私自身が実験をするために作られたプラットフォームです。そこで実施しているクラファンはそれ自体が実験そのものですし、多くの人がいつかここでクラファンができるために、できるだけ実験しておこうと思うんです。実験を応援するためのクラファン、みたいな感じです。
非効率なように見えても、こういう実験を常にやっている方が、変化の激しい時代には有利だと考えています。巨大な恐竜であるよりも、動きが早く変化に対応できる哺乳類になりたいです。強い者ではなく、変化できる者だけが生き残る。今はまさに、そんな時代だと感じているんですよ。