「月100万円」「月30万円」「月5万円」の稼ぎ方は違う
フラスコ代表、安田です。駆け出しの起業家に対して、「稼ぐためにはとにかく、高額商品を作らないとダメだ!」ということを言うコンサルタントの人が多いのですが、私はこれ、疑問に感じています。ある前提のもとではそうなのですが、誰にでも当てはまる話ではないと思うのです。
今、いくら稼ぐ必要があるのか
冒頭のコンサルのロジックはこうです。実際にほとんどこのままで喋る人を何人も見たことがあり、誇張していません。繰り返しますが、相手は駆け出しの起業家という前提です。
「それで、あなたはいくら稼ぎたいのですか?月100万円?なるほど良いですね。だったら毎月、単価3千円の商品を334人に売るか、3万円の商品を34人に売るか、30万円の商品を4人に売るかです。時間は有限です。どれが一番できそうですか?そう、30万円を4人ですよね。50万円なら2人、100万円の商品だったらたった1人に売れたら良いんですよ。どうです?できそうな気がしてくるでしょう?」
読んでいて何か違和感はありましたか?すごく真っ当なことを言っているような気がしたあなた、要注意ですよ。実はこの議論には「時系列」がないんです。どうしても今月100万円売り上げなかったら破綻する、というのであれば中身のないものを高額で売るしかないかもしれませんが、それってもはや詐欺みたいな話ですよね。目先は稼げたとしても、ダークサイドに堕ちます。
私だったらこう聞きます。「今のあなたは、いくら稼ぐ必要があるのですか?これから1年程度ギリギリ生活をしていくために、月の収入はいくら必要なのですか」と。夢のない話ですよね。しかし実際には、そういう考え方で時間をかけてビジネスを組み立てていくのが、一番の近道なんです。いくら稼ぎたいかを聞いたとしても、それは少し先のビジョンとしてであっていますぐ実現するためではありません。
月30万円の稼ぎ方
まだ全然売り上げが立っていない人に対して、「高額商品を作れ」と言うのは無理があります。そもそも月100万円というのは会社の売り上げとしてはそうでもありませんが、駆け出しの起業家がすぐに実現するにはかなりハードルが高い目標です。ギリギリ生活をしてくために必要なお金というのは通常30万円くらいでしょう。
いや60万円は必要だ、という方はお子さんもいらっしゃるのでしょうが、かなり生活レベルが高いですね。そういう場合は、ある程度の貯金をしてから起業に挑むべきです。もし本当にそうであれば、ここに出てくる数字を2倍してください。場合によっては奥様の助けを得たり、一時的に定時の仕事を持つ必要があるかもしれません。
月30万円が必要ならまずは3万円の商品を10件、頑張って売ることを考えた方が良いでしょう。活動量を高めて、お知り合いの方とか交流会など、あらゆるリソースを使いましょう。これができたらフロントエンドの3千円のセミナーやイベントを作り、それが安定してから初めて30万円の高額商品の開発です。3万円、3千円、30万円の順番ですね。
稼げていない人は「商品」がない
なのですが、ここでの最大の問題は得てして、過去にも書きましたが「商品」がないことだったりするんです。ここで言う「商品」とは資格や肩書きのことではありません。コーチングとかコンサルティング、○○士というのはそれ自体は商品じゃないんですよね。○○コーチとか○○専門の○○士と名付けたら商品の完成かというとまだ不足です。問題は需要と供給です。
あなたの提供するサービスなりモノが、売れる状態になっているかどうかです。あなたが想定するお客さんが世の中には一定程度の数がいて、行動さえしていれば会うことができて、面と向かってサービス内容と価格を説明したら、あなたが信頼されさえすれば売れる。それが商品です。
普通にやったら3万円で売れるし、普通に頑張れば月10件くらいは売れる。これが「商品」があるという状態です。あとはシンプル、頑張るだけですよね。これがきちんと売れて生活できるようになったら、そのタイミングで初めて高額商品を開発することができます。
月5万円で良いなら
ところで、稼ぐ必要のある金額が月5万円とか、ゼロというケースも存在します。そう、会社にお勤めのサラリーマンや主婦の方だったら、すぐに売り上げが立たなくても生活には困りませんよね。そこまで時間やエネルギーはかけられないけれども月5万円くらいは副収入が欲しい、となれば話は全く変わってきます。
単価3万円の商品すら、不要です。その場合は、もしかしたら利益が3千円のイベントを開催して20人弱の人を集めるのがもっとも簡単かもしれません。利益3千円なら例えばですが参加費5千円、会場代2千円というイメージですから、ある程度コンセプトを絞ったイベントであれば実現はそんなに難しくありません。
30万円、60万円を稼ぐ必要のある人であればこのやり方は取れません。集まった20人のうちから何人かは3万円のバックエンドを買ってくれないと「本業」としては頼りない結果になりますから。バックエンドから逆算してイベントをやるなら、今度は20人集めるのも簡単ではなくなってきます。ここは副業で、本当に好きなことをテーマにできることは強みになります。
副業時代はそうやって、人を集めてみて何が起こるかの「実験」と割り切ったイベントを主催するのも良いと思います。直接お金を稼ぐことを考えるよりも、早く稼ぐ感覚が掴めさえするかもしれません。本業があるって良いな、羨ましいなって起業家からは見えるものなんですよ。だから、簡単に会社を辞めたりしないでくださいね。