会社を辞めて起業をする前にすべき7つのこと
フラスコ代表、安田です。「会社を辞めたい!」もしくは「辞めると言ってきた!」といって私のところに相談に来てくれる方も多いので、たまには初心に戻ってこんなことを書いてみましょう。起業をしようと思う人は、会社を辞める前に必ずこの記事を読んでチェックしてください。
1.クレジットカードと不動産
まずテクニカルなところから。会社を辞めると、金融的な意味でのあなたの信用はゼロになります。クレジットカードを作ることすらできなくなるので、2〜3枚作っておきましょう。まあ、会社の設立初年度でも作ることができる法人用のクレジットカードもありますが、念のために備えがあれば安心です。
せっかくサラリーマンを長くやってきたなら、検討して頂きたいのは不動産投資です。「借金できる」っていうのは、実はリソースなんですよね。私も会社を辞める何年か前に数千万円借金して、投資不動産を買っておきました。当時は安かったので買いましたが、正直今のタイミングで不動産を買うのはどうかなと思うので、強くはお勧めしませんが、そういう選択肢があることは知っておいてください。
2.貯金
「貯金がなくても大丈夫!私は人脈なし、専門知識なし、商品なし、貯金ゼロで成功しました!あなたにもできます!」みたいなことを言う起業支援の人がいますけど、それは起業塾を売るためのポジショントークです。その人は天才か、すごく運が良いか、奥さんが稼いでいるか、何か隠していることがあると疑ってください。
特に貯金に関しては、絶対にいくらかは必要です。起業というのはつまり、お金がゼロになったら負けのゲームなんです。少なくとも3年くらいはやっていけるだけのお金、具体的には家族がいるなら1,000万円くらいは貯めてから起業をすべきです。やってみたらわかりますが、これくらいはすぐに溶けて無くなりますから。
3.仕事で結果を出す
せっかく会社に属しているのなら、その立場をフル活用すべきです。と言ってもサボり倒せとか横領しろということではもちろんなくて、むしろしっかり仕事に打ち込んでおくべきです。どんなにつまらないと思っていても、そのポジションで最大限の結果を出しましょう。表彰されるくらいがちょうど良いですね。
あなたがお勤めの会社がどこかはわかりませんが、従来の企業というのは古臭く思えるかもしれませんが良くできているので、その真髄を知らずに辞めるのはあまりにももったいないです。名刺や本に書けるくらいの実績がないと、起業してから困りますしね。辞めたいなと思ってから1年くらいは、仕事に打ち込んでみましょう。
4.人間関係を固めておく
同様に、会社を通じて知り合える人たちとの関係を、深めておきましょう。仕事の実績を出して信頼してもらうというアプローチもありますし、会社の外で接点を持つのも良いですね。辞めてしまったらおいそれとは会えないような人とも、会えていたりしますから。辞めても応援してくれる人がいると、頼もしいですよね。
変な話ですが、家族との関係性も大切です。私の場合は辞めてしまったら金銭的にも精神的にも余裕がなくなると思ったので、家族で海外旅行に行っておきました。「これが最後の海外旅行になるかもしれない」なんて冗談ともつかないことを言いながら。そういう、身の回りの人との関係性も大切にしましょう。
5.勉強
当たり前ですが、勉強は大切です。必要であれば資格も取っておくに越したことはありませんが、必ずしも資格というわけではありません。商品づくりにセミナー構築、マーケティングなどなど、学んでおくべきことは山のようにあります。その本当の意味を体得するのは起業してからかもしれませんが、まず知っておくことは必要です。
高額のセミナーに通うのも悪くはないのですが、まだ良し悪しを見極められない可能性が高いです。なのでまずはいろんなフロント(5,000円以下くらい)のセミナーに数多く出席して、「審美眼」を養いましょう。家族がいるならそのための予算と、土日などに自分に投資するための時間を確保することも必要になります。
6.ビジネスの実験
できれば自分でイベントやセミナーを開催するなど、人とお金が動くイメージができるビジネスの実験をやっておきましょう。副業でバックエンド商品まで販売できるのであればそれがベストです。人を集めてお金をもらうことのコツを、できるだけ体得しておくと不安が減ることでしょう。
会社員の方は「完璧なビジネスプランを組んでから起業したい」という想いが強く、机上で計画だけを立てて会社を辞めてしまいがちです。それよりも、不完全なものでいいので市場に投入してみて、リアルな反応を受けて改善する、というサイクルをできるだけ多く回しておきましょう。
7.妻へのプレゼン
「相談したら反対されるかもしれない」という心配からか、ギリギリまで一人で悩んで突然奥さん(旦那さん)に「今日、辞めるって言ってきた」とか下手すると「実はもう、会社は辞めた」みたいな報告になる人が結構多いです。これ、絶対ダメです。決心してからでも良いですが、奥さんには上司より先にきちんと相談してください。
なぜなら、起業における最大のステークホルダーは、実はパートナーの方なのですから。最大の理解者であるはずの奥さんにプレゼンをして理解を得られないくらいなら、そのビジネスは成功する可能性は低いでしょう。1度で「押し切る」のではなく、何度でも丁寧に説明しましょう。それでも本当に賛意を得られないなら、思い留まっても良いくらいだと私は思います。
簡単に辞めてはいけない
ここまで色々と書いてきましたが、これらのことは会社を辞めずにするべきことです。そして、これらを進めていった結果「あれ、よく考えたらもう会社を辞める必要がないな」となったらそれはそれでとても良いことです。会社を辞めないとできないことなんて、実はそんなに多くはないですから。
私が日々感じているのは、「起業をしたい」という人の多くは単に「会社が嫌だから辞めたい」だけだったりするなということです。それならまずは、会社が楽しくなるような努力をする方が早いのではないかなって思うんです。この7つのことを突き詰めてみて、それでもチャレンジしてみたいことがあるのであれば、その時に初めて起業という選択肢と正面から向き合えば良いのではないでしょうか。くれぐれも、簡単に会社を辞めないように。私が言っても説得力がないかもしれませんが!