大学を辞めてオンラインサロンに入ろう!?
フラスコ代表、安田です。ここ数日、一部インフルエンサーの方々から「大学なんて辞めてオンラインサロンで経験を積むべき!」という内容が発信されています。確かに時代は変わり、大学の役割は変わってくると思うのですが、では現時点で大学を辞めてオンラインサロンに入ることに合理性があるでしょうか。
オンラインサロンが担う役割
別に結論を引っ張って読ませようという気はないので最初に言ってしまいますが、私はそれ大反対です。完全に、ビジネスとしてオンラインサロンを運営している人のポジショントークです。確かにオンラインサロンでは学校や会社では得られない経験が得られるとは思いますが、全てを捨てて飛び込むほどの世界ではない。
確かにここのところ塾や大学という名前を冠したサロンも増えており、双方向的な学びの場として価値が高まってきています。情報コストが下がったことでどこにいても参加できるメリットも大きいですよね。本来その役割を担うべき大学が、時代の変化に対応しきれていないというところも否めません。
また、プロジェクト型でどっぷりと参加して社会人経験を詰めるタイプのサロンもあります。大企業に入って最初の何年かが「修行」と位置付けられている、これまた変化に対応しきれていない組織にじりじりした若者が、オンラインサロンに光を見いだすのもまた気持ちとしてはわかるんです。
起業をするならまだわかる
そういった時代の変化を捉えるために、大学を辞めて起業をしようという主張であればまだわかります。スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグの例を挙げるまでもなく、起業で大成功するために大学の卒業を待つ必要はないとは私も思います。事業にコミットするにしても、まずは休学で良いとは思いますが。
それくらい、勝負ビジネスを在学中に確信できるくらいのレベルなのであれば、大学を卒業する必要はないでしょう。ただ、「まずはオンラインサロンに入って経験を積もう。学ぼう」という考えなのであれば、大学と並行してやろうよっていう話です。会社を辞めずに、夜と週末を使って参加すれば良いでしょう。
なので「このインフルエンサーの人に心中だ。全てを賭けるんだ!」という覚悟があるのなら、止めはしません。それはそれで一つの人生なので、良いのではないでしょうか。周りからは宗教とか言われると思いますが、信じたものに飛び込むことも、自由ですからね。
大学生のメリット
私は何も「大学生なのだから一所懸命勉強しろ」と言っているわけではありません。もちろん勉強したい人、できる環境のある人はしたら良いと思いますが、私自身は公立大学の経済学部で、全く授業を受けなくても試験のときだけ頑張れば卒業できるゆるいところだったにも関わらず、5年かけて卒業したくらいですから。
大学生の特権は、有り余る時間だと認識しているんです。生活が苦しいからバイトをしなくてはならない?はい、だからその代わりにビジネスをやってお金を稼いだら良いのではということをオススメしているんです。お金を稼がなくても、遊んでも良いし運動をしても良いし、好きなら勉強したって良いんです(笑)。
そうやって、自分に合った生き方を試すことができるのが大学生の特権だと、叱られるかもしれませんが私は理解しているんです。その一つにオンラインサロンがあったって良いんです。東京にいることでその経験が深まるなら、東京の大学を受験したら良いだけのことですし。辞めるなんてもったいないですよ。
良い大学と良い会社に入る意義
反論として聞こえてきそうなのは「Fランの三流私大にしか行けない人でも大学に行かなくてはならないのか」ということですけど、そこは厳しく「猛勉強してできるだけ良い大学に行きなさい」とお答えします。大学に行かなくてはならない、とは言ってませんしね。勉強が苦手なら別の生き方はあると思いますから。
その猛勉強から逃げて、就職活動を「くだらない」と言って逃げて、それでオンラインサロンに入って一発逆転というのは考えが甘すぎるのではないでしょうか。繰り返しますが、働いてお金を貯めてビジネスで勝負をする、ならわかります。勉強は苦手だけれどビジネスに才能があるという仮定ですよね。それは、試してみれば良いと思います。
今の社会で、良い大学を出て良い会社に入る意義は、確実にあります。起業をするにしてもレガシーである大企業、今話題のティール組織で言えばオレンジ型どころかアンバー型で運営されている現実の世界を詳しく知る機会は貴重です。倒すべき、もしくは変えるべき現実を良く知っておくことはとても有益です。
簡単に「背水の陣」を敷くな
私は立場上、会社を辞めて起業をしたい人と多く話す機会があるのですが、彼ら彼女らの多くは「一刻も早く会社を辞めて自由になりたい」という想いだけに行動を支配されています。大学に行かずにオンラインサロン、っていうのもそれと同じで、とても危険な現実逃避の香りがするんです。
大学を辞めないこと、会社を辞めないことはリスクヘッジであり、一点突破の確率が減る気がするから背水の陣を敷きたい。私もサラリーマン末期にはいつもそう考えていましたから、その気持ちは良くわかります。でも、人は背水の陣を敷いたところで想像するほど頑張れません。ヘッジできるリスクはヘッジすべきです。
できるだけ安定的なキャッシュフローや貯金を確保した上で様々な実験を行い、「これならイケる」と確信してからリソースを全て投入すれば十分です。大丈夫です、その確信すら大抵は勘違いで、それからでも嫌というほど苦労はできますから、苦労が不足して困ることはありません。安心してください。