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信用の器 フラスコ

物欲ドリブンだと突き当たる、300万円の壁

フラスコ代表、安田です。「あなたは、お金と時間の制約がなかったら、何をしますか?」これはコーチング業界では有名な質問なんですけど、それだけに本質的です。ビジネスや仕組みを構築するのに何を原動力にするのかは、とても重要だと思うんです。ちなみに私は、物欲がほとんどありません。

物欲を原動力にすると

もっとも単純な動機で若い起業家に多いのは、物欲を原動力にして頑張るという考え方でしょう。「もっと稼いで、良い車を買って港区に住んで、美味しいものを食べて良い女を・・・」という欲望に正直に頑張るということですね。良いか悪いかで言ったら、全然悪くありません。率直に言えば成功した起業家に一番多いのは、ここからスタートしたケースでしょう。

しかし、経営というのはある意味で「倍々ゲーム」なので、いくらあれば満足するのかという大問題に突き当たることになります。楽して生活できるということでは、ここで会社を売ったら良いよなって気づいてしまいますしね。実際にそれで引退して、目的を見失って発狂しそうになる「成功者」も多いです。

どう考えても、自由に使えるお金が月に300万円もあればお金で解決できることはほぼ全て解決できてしまいます。自家製ジェットとか浪費はいくらでも考え付きますが、虚しくなることは避けられません。どこまでも倍々ゲームを続けて経済的にか人間的に破綻するか、それとも異なる動機を見つけてうまくシフトするかの選択になります。

コンプレックスを原動力にすると

育った環境が貧しかった、ということなら物欲の原動力とほぼ同じことになりますが、コンプレックスには様々なものがあります。異性にモテなかったとか、身体が弱かったとかいろんなパターンがありますよね。この原動力は、短期的には驚異的な頑張りを発揮します。

ただある程度の成功をしてしまうと、コンプレックスそのものが概ね解決されてしまうという弱点があります。満足したらそこで終わりという、脆さを抱えてしまうんですね。やはりどこかで、より「上位の」動機に切り替えていく必要があると言えるでしょう。

自己顕示欲を原動力にすると

多くの人に注目されたい、評価されたいというインセンティブで頑張れる人もいます。上場を目指す社長なんてほぼみんな、そういう要素があるでしょう。メディアへの露出や政界への進出を目指したり、晩年は勲章にこだわったりするようになる人たちですね。

若くして成功した起業家が、その後の楽しみとして自己顕示欲に走るのはある程度、仕方ないのかなと思います。人生の大先輩から「人間、最後はそれだけが楽しみなんだよ」と言われると「そうかもしれないな」と思ってしまうんです。ただ、このモードに切り替わった時にその事業の成長は止まるんだろうな、とも思います。

社会貢献を原動力にすると

大きなことを成し遂げる可能性があるのは、これかなって思います。従業員を雇ったり、経済に貢献することを喜びとするタイプの人々です。傍目にはそのような組織を経営することは苦行にも見えるのですが、それが良いことだという信念に基づいて行動できるタイプの社長ですね。

物欲やコンプレックス、自己顕示欲を原動力として稼げるようになった人が、いずれは到達する必要のある境地とも言えるでしょう。多くの人を巻き込み、結果として巨額の経済を生み出すには社会貢献の観点が必須です。ある程度はきれいに飾ったところで、本音は物欲という経営者であればその組織は本当の意味で大きくなることはできません。

ミッションを原動力にすると

とまあ書いてきましたが、もっとも継続性があって大きな事業を生み出せる可能性があるのは自分が持って生まれた「ミッション」に従った事業だと私は考えています。ほんの少しでも、より良い場所に世界を変えようと本気で考えている人が、最後は強いのかなと思うんです。

私のミッションは「全ての人が自分の頭で考え、自由で好奇心にあふれた世界を創る」ことなのですが、このミッションはいつまでも完成されることがありません。他の動機に基づいた行動とは違い、燃え尽きることがないんですね。私には物欲や自己顕示欲がありませんし、コンプレックスもあまり強烈なものはありません。

誤解を恐れずにあえて言えば、社会貢献すらも目的とはしていません。結果として大いに社会貢献はしてしまうことになるとは思っていますが(笑)。ただ、一度しかない人生を心から納得できる生き方ができるよう、常に自分の頭で考えたいと切望しています。自由と好奇心にあふれた人生は、私自身に関しては実現しつつあると感じており、それをこれから多くの人に拡げていく過程にあります。

ミッションを確かな「コンパス」として感じているのは、私たちは今のコミュニティに加えて、教育と投資という3事業をやっていくことになるでしょう。いずれも奥深く、終わりのない分野です。だからこそ、死ぬまで退屈することはないだろうなととても楽しみに感じているんです。

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