誰よりも成功したければ、誰よりも多く失敗するべきだ
フラスコ代表、安田です。「サラリーマンはなぜ、起業しないのか」これは私が起業以来、いやもっと前からずっと考えているテーマです。人ごとではなくて、私自身が起業をするのに15年間、会社を辞めることができませんでした。5年前の自分を救うためには何があれば良いのかと考え続けて、フラスコという仕組みができたのですが、成功する人を生み出そうと思えば、成功できないのはなぜかを考えぬく必要があるんですね。今日はそんな話です。
サラリーマンが起業しないのはなぜか
私が大学を卒業して就職した当時から、起業という選択肢はずっと目の前にありました。3年から5年、大企業で修行をして実力を身につけたら起業にチャレンジしよう。経済やビジネスの大きな流れを知るためには日本生命はとても良い会社だと思って、(偉そうですが)選びました。この選択は今でも間違ってはいなかったと思いますし、実際にそこで得た経験は大きな財産であり、他では得がたいものもたくさんありました。若い人には、新卒で大企業に入ることをおすすめしています。
社会人としても専門家としても全く通用しない自分を経験し、そして3年経ち5年が過ぎてなんとかこなせるようになってきた頃には、人事異動でまた新しい仕事を担当します。やっぱり全く通用しませんし、それどころか社内に限っても全体像がまだ見えてきません。「無知の知」ではないですが、知れば知るほど自分がいかに世の中のことを知らないかがわかってきます。まだまだここで吸収できることがある。希望部署が通らなかったら退職を考えよう・・・あらまた希望が通っちゃった。
そんなこんなで15年です。気がつけば結婚して小さな子供が2人いて、給料も社内的な影響力もそれなりに高くなっています。損得勘定だけで考えるなら、若いうちの「滅私奉公」を今から給料として回収していくフェーズでもありますし、リスクをとって起業するのは損なことに思えてきます。アップサイドはあるものの、ダウンサイドを考えるならかなりの確率で、サラリーマンを続けた方が期待リターンが高いんです。身の周りの誰に相談しても、残った方が得だと言うはずです。
泳げるようになってから海に出ようとする
そんな風に、行動を起こさないための「言い訳」がいくらでもある状況での起業なんです。物理的な意味では、やらなかったら死ぬというわけではありません。私の場合はサラリーマンが合わなかったので、このままやっていると精神的に死んでしまうという危機感があったので行動できましたが、会社員でもうまくやれる人にとっては、行動を起こさない方が正常とも言えるのではないかと思います。むしろ、あえて行動をするための理由がないのかもしれませんね。
ちょっと話が横にそれますが、一生サラリーマンとして生きてそれはそれで満足できる人は、無理をして起業する必要はないというのが私の考え方です。「どうしても行動できないんです」と相談されれば「行動する必要なんてないですよ」とお答えします。なので以下に書くことは、どうしても起業をする必要がある人のためのお話です。そういう人は「成功できるアイディアが見つからないから、行動できない」と言うのですが、その考え方がそもそも間違えているんですね。
起業においてアイディアの優劣というのは、実はそれほど重要なことではありません。画期的なアイディアを思いついても消えていった人は山ほどいますし、逆にどうということのないアイディア、例えば人のビジネスの後追いなどで成功した人はいくらでもいます。「成功できるアイディア」なんて必死に泳ぎ回っている中でたまたまコツンと当たるものなので、最初に思いついたアイディアが勝負を分けるわけではないんです。泳げるようになってから海に出るのは、のび太くんの発想です。
誰にでも当てはまる成功法則はない
考えれば当たり前の話だと思うのですが、「テンプレート通りにやって、誰でも成功する方法」なんてありません。私が成功するためのやり方と、あなたが成功するためのやり方は違います。そもそも、私とあなたでは「成功」という言葉の定義が全く違うはずです。その、ありもしない成功法則を他の人に教えてもらおうとすれば、「ひよこ喰い」の詐欺師たちにその甘さにつけ込まれ、騙されるだけです。
成功するための「ただ一つの方法」があるとしたら、自分の頭で考えて仮説を立て、誰よりも多くその仮説を検証することです。エジソンが「失敗ではない。うまくいかない方法を一万通り発見しただけだ」と言っているように、自分に合っていないやり方を全部試してその全てで失敗すれば、ぴったり合ったやり方が必ず見つかります。あわてて会社を辞めたりしなければ、失敗して失うことは実はありません。ただちょっと、恥ずかしいだけです。
フラスコは、その「失敗して失うもの」を全て潰す仕組みです。行動しない理由をなくしたかったんです。会社を辞めずにコミュニティを持ち、顔のできるメンバーに声をかけてイベントを実施してフィードバックをもらい、集客のじょうごを作りフロントエンドからバックエンドの販売まで一連のプロセスを安全に「実験」する。すぐにうまくいくことはありませんが、致命傷を追わない安全な場所で、失敗を繰り返せば良いんです。
私たちが提供しているのはそういう仕組みであり、5年前の私がこれを知っていればいきなり会社を辞めることもなかったでしょうし、事業を軌道に乗せるための時間も大きく短縮できたはずです。フラスコは副業が解禁されていく大きな流れの中で、多くの悩めるサラリーマンの方のお役に立てることでしょう。今から、とても楽しみです。