ビジネス交流会からの卒業 〜「商品」とコモディティの関係〜
フラスコ代表、安田です。フラスコ交流会を立ち上げていながら「ビジネス交流会が苦手」と言い続けている私ですが、何度目かの「交流会からの卒業」を宣言しつつ、考えていることをまとめておきます。
ビジネス交流会のここが苦手
ビジネス交流会って、怖いじゃないですか。出会って5秒でいきなり売り込んでくる人もいるし、失礼な人もいたり、変なマウントを取られることもあるし、あまりよく知らない人に「知り合いを紹介しろ」とか無理ゲーです。主催者とその取り巻きの人たちで内輪受けしていて、ゲストのはずの自分が落ち着かない気分になったり。
妙に高いテンションで会が進んで、30秒とかすごく短い時間で自己紹介させられたり、「懇親会はもちろん参加しますよね!?」という圧がすごいし、変なポーズで写真は撮られるし、オリエンテーションという名前の売り込みはあるし。かといって商品を買ってくれるわけでもなく、「入会すれば売れるかも」みたいな?
・・・こういったことは、起業して何年も経った私はさすがにほぼ克服しました。今となっては何があっても大きなダメージは受けませんし、行けばそれなりに成果も出せます。でもまあ、やっぱり今でもビジネス交流会というものが好きではありません。いまだに多くの交流会の、ノリについていけないんです。
ビジネス交流会の良いところ
こんな説明だと、いかにも「だから交流会には行かなくても良い」と言いそうな感じがするかもしれませんが、そんなことはありません。メリットがあるからです。フロントのセミナーやイベントの集客がしやすいし、私だったら本を買ってくれる人が結構、いたりします。
ゆるくいろんな業種の人とつながる上では便利で、テストマーケティングの場としても優れています。新しく作ったフロントの生の反応はどうかな、と探ってみたり、誰かのやり方をマネしてみたり。ビジネスのヒントにもあふれているので、特にビジネスを始めたばかりなら、とりあえず行くべきでしょう。
人によってはそういう、ビジネスを始めたばかりでまだ何もわからない人に売り込みをする場、と捉えているかもしれません。ひよこ喰いですね。そういう人には本当に気をつけて、3千円や5千円のフロントならともかく、何十万円もするバックエンドは買わない、と決めて参加するくらいが良いでしょう。
フラスコ交流会を立ち上げた理由
これだけ交流会が苦手と公言している私がフラスコ交流会を立ち上げたのは、苦手な理由のほとんどが、「アウェーである」ことが原因だと気がついたからです。主催者になってしまうと、苦手な理由のほとんどが消えてなくなる。まさに「饅頭怖いから食っちまえ」という発想です(?!)。
自分でルールを設定すれば辛い思いをすることはほぼなくなりますし、自分の知り合いを中心に集客するならそんなに変な人も来ません。そういう仮説を立ててフラスコ交流会を主催してみたところ、驚くほどストレスなく、ビジネス交流会を運営することができました。
まあ参加者の方がどれだけ満足して頂いているのかはわかりませんが、概ね満足して頂いたなら、あるいはもし100%の満足でないとしても、その方がまたご自分の交流会を立ち上げれば良い。誰でも気軽に交流会を立ち上げて、好きなように運営できるフォーマットを作ったというわけです。
「商品」とコモディティ
で、本題ですが(前置きが長い)、それでも私はビジネス交流会は苦手なんです。だから今回、ビジネス交流会をほぼ卒業します。あ、フラスコ交流会は引き続き主催しますし、フラスコ交流会そのものがなくなったりはしないので、ご安心ください。個人的に、ビジネス交流会に参加することを大幅に減らそうかと。
交流会の常連の人に対してずっと違和感があったのは、この人たちはなぜ強い「商品」を作って差別化せずに、お酒ばかりを飲んでいるのだろうかということでした。もっとちゃんと、ビジネスモデルとか考えたら良いのにな、とやや下にみるような感覚があったのですが、これは思い上がりだったなと今は考えています。
お話を聴いていくとそういう方は「誰から買っても同じなら、仲良くなって思い出してもらうのが大事。それが商売だ」と考えているようです。取り扱っている商品をとがらせるよりも、差別化されていないコモディティでも生き残っていくための戦略として、交流会を重視しているのです。これは良い悪いというよりも、戦略の違いだなと。
何に力を注ぐか
私は「商品」をとがらせ、差別化してコモディティから脱することが非常に重要であり、そこから逆算していろんな仕組みを整えていくのがビジネスだと考えています。もちろんそれが正しいとは思うのですが、ではコモディティであることを前提にビジネスをすることが悪いかというと、そんなことは決してありません。
地域経済というか、世の中のほとんどがそういうコモディティで成り立っているのであり、差別化という考え方はむしろその言葉通り、ニッチなんです。私は交流会が苦手で、お酒を飲み続ける体力もないので差別化せざるを得なかっただけで、あくまでこれからも自分はそうするし、それを望む人だけを助けていけば良い。
そうではなくて交流会が楽しくて仕方ない人、体力があって全く苦痛に感じない人は、むしろ交流会に行きまくるのが強みを活かすやり方であり、商売の王道ですらあるのかもしれません。だから上とか下とかは、ないんだよなあと。そんなことを考えつつ、ビジネス交流会は卒業します。流派の違いですね、これは。