今までお金の本を書かなかった理由と、今それを書く理由
フラスコ代表、安田です。実は私、お金の専門家なんです。でもわけあって、今までお金の本は書いてこなかったんですよね。でも今、書いています。それはなぜか。そんな話をします。
そもそもお金の専門家なのか
安田が本当にお金の専門家なのかという疑問ですが、これは日本最大の機関投資家である日本生命で10年以上、資産運用の仕事をしたという事実だけで十分でしょう。
企業向けの融資、証券投資、不動産などの仕事をさせて頂きました。範囲が幅広い分、飛び抜けてどの分野のエキスパートということはないのですが、お金のプロであることは間違いありません。
加えて個人投資家としても株・不動産など多岐にわたって経験(痛い思いを含む)を積んできましたし、資格も証券アナリスト・中小企業診断士・簿記2級などに合格しています。ついでにいえば大学も経済学部で、小学生のときからお金にすごく興味がありました。ほら、専門家でしょう?
起業するときに考えたこと
そんな「お金の専門家」の私ですが、それで起業をしたわけではありません。あ、起業当初は「夢とお金の専門家」って名乗ってたか。でもまあ夢の方が軸足で、いわゆる金融のプロとしてビジネスを立てていこうとは考えていませんでした。なんなら、お金とシステムは仕事にしたくないな、なんて考えていたんです。
これはサラリーマンの起業あるあるで、起業をするときに「どうせならやったことがないことをやりたい」と思って、それまでの専門性を捨てがちなんです。もったいないですよね。起業コンサルとしての私は、そういう人がいたら「専門性は素直に活かした方が良いですよ」とアドバイスをします。でも自分のときはこんなもんです。
それで気がついたら、フラスコというお金が回るシステムを作っていたりするのです。お金もシステムも、結局仕事になっています。人は得意なことから逃れられない。そんな気がします。
今までお金本を書かなかった理由
そんなこともあって起業当初はお金というか、金融からはできるだけ離れたことをやっていたかった。お金本を書かなかった理由としてはそれもありますが、もう一つ、お金本の怖さというのをずっと感じてきました。これはお金に対する負のエネルギーの強さとも言えて、むしろお金本が必要な理由でもあるのですが。
準備が整っていない状況でへたにお金本を書くと、「読んだのにお金儲けができなかった」とか「言われた通りに株を買ったら、損をしたぞどうしてくれる」みたいな人が湧いてくるよなあ、と。資産運用をテーマにビジネスをしたくなかったのは、これが大きな理由でもありました。
どうしても、起業してすぐにお金本を書いたら「お金のビジネスをやっている人」というイメージになり、変な人が集まってくる。これが怖かったんです。さらには、金融機関を出たばかりの自分がお金本を書いてもさほど売れないだろう、従って出版企画も通らないだろうというのもありました。
なぜ今、お金本なのか
そろそろお金本を書いても良いかなと思った理由としては、フラスコやフラスコビジネスアカデミーといったビジネスがしっかりできてきて、ランチキャンペーンなどを通じて私のことを信用してくれる人が増えてきたとおいうことがあります。お金本が多少の誤解を受けても、耐えられるだけの基盤ができたということです。
逆に「お金本を読んで、稼ぎたくなった」という人を受け止めるだけの基盤もできました。本気の人はアカデミーやダーウィンで、これからという人はフラスコやフラスコノート会で。その人の熱量に応じて、適切なサービスを提供できる。そういう感覚があるので、そろそろ良いかなという感じです。
あとは、起業をしてから9年目となり、そろそろ「お金の裏も面も全部見た」と言えるようになったというのもあります。日本生命に入ったのはお金のことをもっと広く良く知りたいからで、起業をしたのはもっと違った角度からお金のことを深く知りたいから。だいたい一通り、見たという感覚が自分の背中を押しました。
「ノート」が切り拓いた世界
そうは言っても、いくら私が「お金本を書きたい」を思ったところで、一緒にリスクを取ってくれる出版社さんが見つからないと本は出せません。投資家・金融機関・起業家としてお金のことを知り尽くしたというのは大きな強みと自分では考えていますが、だからといってそれで本が売れると思ってくれるかは正直、微妙で。
やっぱりインフルエンサーとか、有名な社長が書いたお金の本の方が「読みたい」と思う人は多いかもしれません。若干、弱い。そこを切り拓いたのが「ノート」です。『自分を変えるノート術』と『ノート術大全』がそれなりに読んでもらえて、ノート本の著者として認知を得たのが、決め手となりました。
お金×ノート。実際これなら、読んでくれる人も多くなりそうですし、独自性のある面白い本が書けそうです。これから出る本は、そういう本になります。正直「ノート以外の本も書きたい」という気持ちもあるのですが、◯◯×ノート、でどんどん新しい領域に進出していけば良いのかな、とも思います。
私がコンサルタントの立場だったら、絶対そう言うはずです。せっかくノートで認知されているんだから、それを活かさない手はない。わかっていても、反発したくなっちゃいます。人間というのは、不思議なもので。それはともかくお金のノート本、楽しみにしていて下さいね!