起業の成否を決めるのは案外「図々しさ」かもしれない
フラスコ代表、安田です。ダーウィンで直接的に起業支援をしていると、起業がうまくいく人となかなか時間がかかる人に分かれるのはなぜだろうという疑問を持つのですが、その答えは案外「図々しさ」かもしれません。
「能力」と成功の相関は
起業支援の仕事をする前は、能力ってやっぱり大事なんだろうなと想像していたんです。でもやってみると、優秀だからといって必ずしもうまくいくとは限らない。あ、もちろん優秀な人は起業においても有利なんですよ。社会人として最低限の能力はあった方が良いとは今でもやはり思います。でも、思ったよりは例外が多いというか、相関が小さい感じがするんです。
「能力値」で測ると優秀だとされるであろう人でも、成功に至る手前で諦めてしまったりします。「もっと優秀な人はたくさんいる」「私なんかができる気がしない」と、そもそも挑戦しないケースも非常に多い。優秀ゆえに、客観的な自分の位置づけが「見えて」しまうんでしょうね。
また、サラリーマンとして高い給料を貰っていて、結婚して子供がいたりして失うものが多いのでチャレンジしにくいという面もあるのでしょう。あとで述べますが恵まれた立場であるほど、挑戦して失敗すると「恥ずかしい」ということもあります。
素直で図々しい人がうまくいく傾向
能力うんぬんではなく、もっとフラットに「起業をしてうまくいっている人ってどんな人かな」という視点で見てみると、「素直で図々しい人」なのかなあと思います。きちんとした統計を取ったわけではなく、なんとなくですが。
「素直な人が成功しやすい」というのは、起業界隈では良く言われることです。どんな流派であれ、コンサルタントに言われたことをまずは全部やりきってみよう、という考え方をする人は結果が出るのが早いです。言われたことになんとなく反発して、自己流にアレンジしたり、行動を止めてしまう人は成果が出るのに時間がかかります。
図々しさはまず、集客やセールスの場面ではっきりと必要です。そんなに仲が良いわけでもない人を自分のイベント・セミナーに招待したり、商品を買ってもらおうと提案をして断られたりすることはどんなビジネスでも必須です。そういうときにくよくよ考えたりせず、「そりゃ断られることもあるよね」と鈍感に構えられるかどうかが結構、カギなんです。
安田自身は十分に図々しい
ちなみに私自身は、これで悩んだことはありません。いったん頭でこれは確率論の話だと理解してしまえば、提案を断られることは気にしません。それで嫌われることもあんまりないだろうとも思いますし、嫌われたところで別にその人とはそれまでのことと割り切って考えられます。自分でも、天性の図々しさがある気がします。今日の文脈で言えば、才能ともいえるでしょう。
例えば、統計もないのに「きっと図々しさが大切だ!(しらんけど)」という内容のブログを今こうして書けるのは、図々しさがあるからでしょう。こんなことを書いたら「いや、繊細な人だって起業して良いはずだ!」とか良くわからない反論を受けるリスクもあります。ちなみに私は図々しさを持っていますが、繊細でもあります。だからディスらないでください(笑)。
行動力や最低限の努力は必要
起業はトライアンドエラーの世界ですから、手数も重要です。大量行動。しっかり学んだらすぐそれを試してみて、ダメだったらすぐ変えるという柔軟性やバイタリティだったり、面倒なことを繰り返すという精神力の世界も、もちろん必要です。小さな約束を守って信用を貯めていくとか、そういうコツコツ積み上げる世界であることも言うまでもありません。
だから単に、図々しいだけの人がうまくいくという単純な話ではないのは当然のことです。でもそれなりに行動もしていて、ちゃんとした人なのにうまくいっていないのはなぜかなと考えたとき、図々しさが足りないなって思うことが多いんですよね。生まれ持った部分もあるでしょうし、今までずっとそれで生きてきたのでそんな簡単には変えられないかもしれませんが。
起業とは恥ずかしさとの戦いである
これは久しぶりに書きますが、スモールビジネスでの起業というのは恥ずかしさとの戦いです。私自身もそうでしたが、プライドの高いサラリーマンにとっては恥辱とも言えるようなことの連続です。プライベートなことをブログやメルマガで書いて、SNSで告知、YouTubeで喋り、集客をしたら誰も来てくれず、新商品を投入したら売れず、出版社にも相手にされず・・・。
そうやって自分の恥ずかしい姿を人前にさらすことでお金を稼ぐ、起業にはそういう面があります。かつての同僚や親兄弟も見ている中で自己開示を続ける。「良くそんなことが平気でできるね、すごいね」とサラリーマンの人から言われてまた恥ずかしい気持ちになります。最初の頃は、そういう時期があります(ありました)。
しかし、それを乗り越えた先に自由があります。出過ぎた杭は打たれないという言葉がありますが、本まで出してしまえばもう笑われることもありません。いや、笑われているのかもしれませんが、そんなことを気にしていたら前に進めません。そういう意味では、図々しさというのは起業家にとって大切な資質であり、身につけていかなくてはならない習性であると思うのです。