挑戦して失敗する人より、何もしないで諦める人の方が圧倒的に多い
フラスコ代表、安田です。起業もそうですが「挑戦」って、やってみて失敗することってそれほど多くなくて。それよりも圧倒的に「自分には無理だ」と、やる前から勝手に諦める人が多いんだと思います。そのあたり、なぜなのかなって考えてみました。
いきなり頂上を見てしまう
以下は起業を前提に説明しますが、もしあなたが別の種類の挑戦をお考えなら、適宜読み替えて下さい。起業をしようと考えたら、かなりの割合でGAFAのことを調べたりするものなんですよ。GAFAっていうのはGoogle、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取ったもので、要するに世界最強企業のことだと思って下さい。
それで、例えばGoogleを見て「ああ、設備投資が数千億円もあるのか。天才が集まってめちゃくちゃ新しいことをやってる。勝てるわけない」って思うんですよね。まあ、それはそうでしょっていう話なんですが。Googleは最初、数学的には高度かもしれませんが、シンプルな検索エンジンから始まっているんですよね。「それも自分には無理」となったりして。
しかし、起業をするというのは何もGAFAを超える会社を作ることだけではないんです。もちろんそういう起業を志す人もいますが、それこそ特殊な人で、「起業しようかな、どうしようかな」と悩むあなたがこういう人のことを気にする必要はありません。もっともっと小さく、安定したキャッシュを生み出す起業をすれば良いんです。
そもそも、前提が違う
ひとくちに起業と言っても、スタートアップとスモールビジネスは区別して考えるべきです。年間数十億円以上の売上、世界のシェアを取るとか上場を前提とするようなビジネスはスタートアップと呼ばれます。投資家から出資を募り、何らかのイノベーションにより「一発当てて」新しい大企業を作り出すという発想です。
対してスモールビジネスとは、その名の通り小さな起業です。月100万円とか、場合によっては数万円でも良いと考えて小さく始めるビジネスですね。もっとも、スモールビジネスで数億円稼いではいけないという決まりはありませんし、実際にそうなることもあります。スタートアップとは何が違うかというと、他人資本を入れるかどうかと、スピード感です。
スタートアップとしてVCなどから出資を受ければ、じゃあそれをどうやって回収させてくれるのという話になります。なので一般的には5年程度で上場するなり、大企業に買収されるなりして「出口(EXIT)」を計画することになります。スモールビジネスはそれがありません(出資があったとしても社員か知り合い)ので、成長に時間をかけても良いわけです。
マーケティング理論を誤解する
まじめな人ほど本を買ってきてマーケティングなんかを学んだりするのですが、散々勉強した挙げ句「自分には無理だ」となりがちだなと感じています。「ブルーオーシャンが見つからない」とか「自分にはUSPがない」、「イノベーションがどうこう」みたいな発言が出てきたら、要注意です。そんなこと、起業前にクリアできるはずがありません。
マーケティング理論の本というのは、だいたい大企業向けに書かれています。資本力と人海戦術で苛烈なシェア(市場占有率)争いをしているような大企業にとっては、そういったマーケティング理論は重要ですが、スモールビジネスを前提とするならそれらはほとんど関係ありません。まあペルソナとかブランディングとか中には有用な理論はありますし、知っておくに越したことはないのでマーケティングが不要とは言いませんけど。
月100万円を稼ぐのに、マーケット規模とかシェアを意識する必要はありません。ブルーオーシャンで戦う必要はなく、会ったこともない人に選ばれる必要もありませんし、特殊な技術も必要ありません。ただあなたが提供するニーズを持っている人と出会い、その人の課題を解決できれば良い。誰でもすぐに月100万円とまでは言えませんが、誰でも始められることは確かです。
今の自分を前提にしてしまう
とここまで言っても「いや自分にはできない」と変な自信を持っている人がいます(笑)。別に私も無理に起業して欲しいと言っているわけではなく、その時は聞かれたからこの話をしていているだけなのですが、「大丈夫、あなたならできますよ」って言って欲しいんですかね。それでニッコリして、また日常に戻っていきたいだけなのかもしれません。
ただもしあなたが本当に起業をしたいと考えているなら、「今の自分にはできない」ことはもしかしたらあるかもしれない、と考えてみても良いですよ。でも1年後、3年後はどうでしょう。今から動き始めて、それくらいの期間があってもなお、できないのでしょうか。知識やノウハウを学び、経験を積んで、それでもできないことは選ぶべきではありませんが。
強みなんかも同じで、今のあなたが持っている強みはもちろん活かせば良いですけど、それと組み合わせられる新しい強みを磨きながらビジネスをやっていけば良いんです。そういう意味なら資格を取ることも否定はしません。ただ、勉強するにしても実際に動きながら、やった方が良いですよとはお伝えしますが。
目的を見失っている
相談を受けていていつも思うのですが「起業をしたいけど、できない。動けない」と言っている人はだいたい、頭の中が混乱しています。いろんなところで学んだ結果でしょうけれども、「世の中の役に立つことで」「ニーズがどうこう」「自分にできそうで」「市場規模がどうこう」「競合との優位性が」「雇用の創出が」などといろんなことをおっしゃいます。
そんなとき、私はこんな質問します。「それで、どうなりたいんですか?」ですね。起業をしたいということは、最初に何か想いがあったはずなんですよ。それは別に世界を変えたいとか人を助けたいということではないかもしれない、ぶっちゃけて言うとそんなきれいなことじゃないのが普通じゃないでしょうか。
会社が嫌で辞めたいとか、お金が欲しい、人から認められたい、偉そうにしたい、モテたいだって良いじゃないですか。ほとんどの企業は、本音を言えばそんなことからスタートしているはずです。本当にGAFAを作ることがあなたの目的だったでしょうか?それならそれで邁進すれば良いですが、迷っているということはきっと、そうじゃないんじゃないかなって思いますよ。