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【経営者インタビュー】株式会社アンテレクト藤井孝一様(中編)

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

前回に引き続き、株式会社アンテレクトの代表取締役社長にして著名な著者でもある藤井孝一氏へのインタビューをお届けします。前編は2020年までに全国200拠点の目標を中期計画として掲げていることと、水道哲学の関係についてのお話でした。今回は第2回(中編)です。

自社を大きくすることの自家撞着

Y:凄く色々な講座が始まっていると感じています。最近加速しているのではないですか?

F:そこは戦略的にやっているというよりは、できる人との出会い、当社で学んだ人の中で、何らかの専門性を持っていて、うちのお客さんが関心を持ちそうなコンテンツを提供できそうな人がいれば一緒にやっていくという提案をしています。

Y:週末起業をやっていると起業をして旅立っていく人が増えていきますが、それに向けて御社のビジネスモデルが変わっていくということはありますか。

F:方向性としてはサラリーマンを組織から解放するという方向性はずれていませんが、独立した人と組んで新しいビジネスを始めることで、新しい事業を始めることは多いですね。実はここは凄く大きいポイントです。
私たちは起業支援をやる上で一番強力な支援は、実際に仕事をお出しすることだと思っています。起業をしたい、何かやりたいと言っている人に、まず仕事を出してあげることは凄く強力な起業支援になりますし、なってきています。

Y:そうですね。

F:実際、当社が仕事をお願いしてきた人達の多くが起業家として成功していきます。

あくまでもご本人が希望すればですが、当社とのビジネスの相性がよければ、どんどんビジネスを一緒に作っていきたいと思っています。週末起業なのでいきなり自分でやることには色々障害があると思います。
また、創業時はブランド力とか、資金力が不足しがちです。それを、当社と一緒にやることで補えるなら、使ってもらえば良いと思っています。

Y:そういう事業を自社の中で囲い込むというわけでは必ずしも無くて、緩やかなアライアンスで企業が成長していけば良いというお考えですか?

F:それはケースバイケースですが、初めは当社の中でスタートしても、将来そこから自立するのは全く構わないと思っています。と言うのも、うちは自社を大きくするということにはあまり関心がないのです。
なぜかというと、我々はサラリーマンが組織から独立することを提唱している会社です。その会社が、自社ではサラリーマンを量産するようでは困るじゃないですか。

Y:ああ、そうか。そうですね。

F:もちろん一人ではできないし、ある程度のチームは必要です。でもうちに様々な提案してくる人が、うちを使って大きくなって、卒業してくれれば、それで良いと思っています。今やっている事業も、いずれ切り離して別の会社として巣立っていくということは十分あり得ると思います。

Y:・・・自家撞着、じゃないですけど、200拠点という目標は拡大ということを連想しますが、大企業になってしまうとサラリーマンを生んでしまうという、結構悩ましい問題ですね。

F:はい、とても悩ましい問題です。

Y:その先というか、2020年は通過点でしか無いような気がします。その後はどうされるおつもりでしょうか。

F:さっきと矛盾することを申し上げるようですが、確かに規模がある程度ないとできないこともあると思います。最近実感することは、世の中の人たちが、必ずしも起業家を目指しているわけではないという、当たり前のことです。中には起業家をするよりも、組織の中で起業家を支援したいという人達もたくさんいます。

Y:いるでしょうね。

F:私たちはそういう人達の生き方を否定するものではありませんし、そういう人たちの存在が、起業家を増やす上でも必要です。だから、そういう想いを持った人達を集めることで、ある程度規模感のある組織を作ることも可能ではないかと考えています。前は社員全員独立するんだ、と言っていました。しかし、それはやはり現実的ではないと考えるようになったのです。

そういう人を束ねて、起業したいと考える人を側面から支援していけるような組織が作れれば、たとえ大きくなっても、自家撞着にはならないんじゃないかと解釈しています。

起業家を組織の中に閉じ込めるな

Y:なるほど。ちなみに御社は完全に副業自由なんですか。

F:もちろんOKです。全員がやっているわけではありませんが。実際に週末起業をして、いずれ辞めてしまう人もいます。それは私としては、喜ばしいことだと思っています。やってみてご自分が決めるのであれば、引き止めるものではないでしょう。

一番いけないのは、起業マインドがあったり、起業をするだけの力量がある人を組織が組織の中に閉じ込めていて、組織の論理でその人のモチベーションや能力をダメにしてしまうことです。これは会社にとっても社会にとっても損失です。そうでない世の中にしたいという気持ちを持っています。

安田さんはつい最近まで社会人だったので、その記憶が新しいと思うのですが、安田さんだって組織の中でもっともっと色んなことができたと思います。でも安田さんのような人だったら組織を出ても活躍できるわけだし、そういう人には組織の外でという選択肢があるべきだと思います。

Y:はい。サラリーマンが合わない人というのは一定比率いると思うんですよね。不適合みたいな。サラリーマンをやるべきではないのにやってしまっていて、不要なストレスがかかり、鬱病になったり身体の病気になったり。そういう人達を支援してくことには凄く意義があると思います。

F:ありがとうございます。そういう意味では、私自身がサラリーマン不適合だったと思います。学校教育は一般的に、いろいろな我慢とかを強いるシステムじゃないですか。

Y:ええ、基本的にサラリーマンを作り出すシステムだと思います。

F:そうですね。サラリーマンになる人は学校教育で生き残ってきた人です。そういう人はサラリーマンとしてもやっていける素養が磨かれているんです。

でも、中には、何とか学校教育を乗り切ったけれども「この先、何十年も、このまま続けていくのは無理だ」という人はいるんですね。私も学校教育は、何とか要領だけで乗り切ってきたほうです。でも、この流れで社会人生活もやっていくのはしんどいということに早くから気付いてしまいました。

Y;私もそうです。藤井社長は20代くらいから気付かれていたのですか?

F:会社に入る前からですね。就職活動の段階でうんざりしました。個性を殺して、嘘をついて、取り繕って臨む訳じゃないですか。これはもう最初から、一生は続かないなあと思っていました。

そういう人は、多くはないけど少なくもないと思います。一定数はいるはずです。そういう人達の駆け込み寺になれば良いかなと思っています。それを東京だけじゃなくて、全国に拡げていきたいと考えています。

Y:海外展開も既に何か動かれていることがありますか?2020年以降のお話ですか?

F:日本でできてないのにいきなり世界の話をしてもみっともないのであまりしないんですが、少なくてもアジアの国々にはいけるかなとは思っています。具体的には動けていませんが、時々社長さんとかもお連れして外国に行って、市場調査・情報収集くらいはするようにしています。

Y:藤井社長はサラリーマン時代、海外に駐在されていましたよね。

F:はい。アメリカにいました。ただ、アメリカは展開をするにはちょっとそぐわないと思っています。なぜなら、アメリカでは、先ほど申し上げたような人達は普通に起業をしているからです。起業のハードルが凄く低くて、我慢して働き続ける人はあんまりいないと思います。副業もだいたいOKです。

次回記事は明日配信です。「長期ビジョン達成に向けての課題」「アントレプレナーズ・ネットワークについて」「人との縁が会社を成長させる」お楽しみに!―