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転職ではサラリーマンの悩みは解決しない

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

「転職ならわかるけど、起業?」私が会社を辞めるとき、周囲の人からこう言われました。確かに、転職をする人はそれなりにいましたが、起業をする人はほとんどいませんでした。しかし、私はサラリーマンが抱える悩みは転職では解決しないのではないかと思うんです。

給料が低い

以下、サラリーマンが抱える悩みを列挙していきます。「えっ?私の給料、低すぎ」のキャッチコピーでおなじみなように、給料は転職の大きな動機でしょう。余程低い給料で働いている場合には、転職で待遇が改善される場合もありますから、効果がないとは言いきれません。

ただ、統計上は半分以上の転職で、前職よりも給料が下がっていると言われています。一見好待遇のように見えても、残業代や福利厚生など、良く考えると必ずしも上がっていない、というケースも多いようです。更には、転職してから5年経ったらどうか、前職に留まった場合と比較すると、もっと厳しい結果が出ると思います。

中途採用に頼る会社と、新卒から社員を育てる会社では、給与カーブも違うでしょう。転職マーケットは、この辺りの情報をうやむやにしたまま、話が進んでいく傾向にあり、危ういなあと感じます。

忙しすぎる

これも、最悪のブラック企業から脱出する場合には転職は有効かもしれません。しかし、同じ業界で同じ業種の転職をして、そこまで状況が変わるとは思えない面もあります。地方公務員とか、インフラ系など明らかにホワイトな会社に入れるのであれば、人生観と照らし合わせて考えても良いかもしれません。

忙しすぎると感じている時には、とにかくそこから逃げたいという気持ちが強くなりますから、どうしても転職先の内容を吟味する目が甘くなります。面接相手だけではなくて、できればそこで働く知人や取引先等の複数の情報を得て、慎重に判断して下さい。

仕事のやりがいが無い

会社で正当に評価されていない、自分は飼い殺しにされていると感じている、もっと大きい舞台さえ与えてくれれば大活躍できるのに。多くの場合、この自己評価は過大評価でしょう。今の会社で評価されない人が、新しい会社で「正当に」評価されるという根拠は一体、何でしょうか。

今の会社でやりがいのある仕事を任されるようになるのが、あくまで王道です。転職で急に能力が伸びるということはありませんから、期待を抱き過ぎると失望も大きく、3年後にまた転職を検討することになります。そうして、ずるずると給料が下がっていくのです。

スキルが身に付かない

その会社でしか通用しない能力しか身に付かないので、市場価値が上がらない、という理由での転職も多いでしょう。これは、ある程度頷ける理由です。ただし、一生サラリーマンを続けるつもりなのであればそもそもスキルなんて必要ないわけで、将来のビジョンが描けているかどうかが重要です。

仮説でも良いので将来のゴールが描けていて、そのために必要なスキルを補うための転職であれば、良いと思います。私も、戦略系のコンサルを経験しておけば良かったなあと思うこともありますから。

ワークライフバランス

忙しすぎる、ということとも関連しますが、例えば転勤があったりノルマがあったりでストレスだと。給料が下がっても良いからもっと自分らしく働きたいという動機です。しかしこれも、今いる会社でそういう働き方を選ぶ余地はないかをまず探るべきです。

いずれにしても、会社に雇われていながら働き方を自分で決めるということは、相当の軋轢を生むことでしょう。それはそれで、いばらの道と認識して下さい。

人間関係

結局、転職の最大の動機はこれでしょう?色々と理由を付けても、何年も働いて複雑になってきた人間関係をリセットしたいという多かれ少なかれ、欲求は誰にでもあります。相性の合わない上司が来た、自分よりも劣ると思う人間が評価されている、信頼関係を築くのがうまくいかない、気を遣って疲れた、苦手な人がいるなどなど。

少なく見積もっても、仕事は8割が人間関係です。これは起業をしても同じです(ちょっとは割合が減るかな)。そして当然のことながら、転職をした先でもやっぱり仕事の8割が人間関係なんです。社会人である以上、どこまで逃げても、人と人との繋がりで仕事をすることに変わりはありません。

起業なら全ての悩みは解決するのか

なので、サラリーマンの悩みの多くは、転職をすれば少しの間だけは緩和されますが、また時間の経過とともに同じ悩みが浮上してきます。これを相談できる人が周りにいない、客観的な立場で話を聞いてくれる人がいないので相談できないことは由々しき問題だと思います。

それでは、起業をしさえすればこれらの悩みは解決できるのでしょうか。答えはイエスでもあり、ノーでもあります。サラリーマン特有の悩みは解決される一方、自己責任とお金の悩みという新たな悩みが出てきます。案外、面倒な作業も多いです。残念ながら、世の中そんなに甘くはありません。

なので、この「サラリーマン特有の悩み」に特に大きなストレスを抱えている場合には、起業をして救われることもあります。私の場合は「自分の頭で考えて仕事ができない」「自分のビジネスを育てることができない」というのが大きな悩みでしたから、起業により一気に展望が開けました。

結論としては身も蓋もありませんが、起業で悩みが解決するかどうかはその人次第、ということになりますね。それでは、また。