夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。
私は、サラリーマンをやっている頃から「時間単価」という考え方を持っていましたが、口に出すと周りの反応は相当、微妙でした。起業して、当たり前に時間単価という言葉が会話に使えて嬉しいので、ブログにも書きます。
時間単価とは何か
まず時間単価とは、「1時間作業をした時に発生する売上(払う側から見れば費用)」のことです。アルバイトであれば時給なので意識しているのですが、月給で仕事をしていると自分の時間単価を忘れがちです。たまには自分の給料を時給に換算して、時間単価を割り出すことをしてみるべきです。
例えば、あなたの年収が賞与も含めて600万円なら、12ヶ月で割って月収は50万円。20日働いているなら1日あたり2万5千円。残業を含めて平均10時間労働なら時間単価は2,500円です。単純に年収が倍の1,200万円で労働時間が変わらないなら、時間単価は5千円ということになりますね。
仮に私の時間単価を3千円とすると、そこで初めて「高速道路に乗ると2千円かかるが、60分間節約できる。高速に乗るべきかどうか?」という問題が解けるようになるんです。60分間節約できるなら、その60分間で3千円を生み出すことができるので、2千円を払う価値があります。この場合、高速道路に乗るべきです。
逆に、30分しか節約できないなら、1,500円しか生み出せない時間に2千円払うことになるので、これは乗らない方が良いかもしれません。妻と子供の時間と体力の問題などを加算していって、まあ乗っておくかということになる可能性はありますが。何にしても、自分の時間単価を知っておくことで、判断の軸ができるわけですね。
利益はどうやって決まるのか
コンサルタントやコーチは基本的には労働集約的な職種です。利益はどうやって生み出されるかというと、
(「労働時間」×「時間単価」)−「経費」
これだけです。単純ですね。利益を増やそうと思ったら、①労働時間を増やすか、②時間単価を上げるか、③経費を減らすか、この3つしかありません。明快ですね。人を雇っていればもう少し変数は増えますが、私のように一人でコンサルタント・コーチをやっているなら、本当にこれだけです。
経費は無駄にはかけていませんし、労働時間を増やすことには限界がありますから、時間単価でほぼ利益が決まるということになります。なので時間単価に拘らずに、何でも良い顔をしてやっていると、サラリーマンの時より忙しいにも関わらず、年収が大幅に減ってしまった、という事態が発生するわけです。
ですから、こういう業種でやっている以上は、時間単価に拘って拘り過ぎということはないわけです。時間単価を計算する時には、クライアントの前にいる時間だけでなく、移動の時間や準備時間も考慮に入れないといけません。
もちろん、将来のことを考えて多少安くてもやる仕事、収入は十分ではないけれども集客やブランディングが見込める仕事、人との関係が築けるので長期的には良いと考えられる仕事、などは安くても、時にはタダでも引き受けることはあります。しかし長期にしろ短期にしろ、時間単価で説明が付けられるか、という検証は必ずします。
一度下げた単価を上げるのは難しい
そして時間単価の恐ろしいところは、一度下げてしまうと、上げるのが難しいということです。それはそうですよね。一度契約を結んだクライアントさんが、サービス内容には大して進歩がないにも関わらず、「値上げをさせて下さい」と言われて「はいそうですか」とはなかなかならないのは、ご想像頂けることでしょう。
そうです。提供できるサービス内容が変われば、もしくはその質が目に見えてレベルアップすれば、値上げは可能なんですけどね。しかしこれも、Aさんには10万円で提供しているサービスを、Bさんには15万円でお願いしたい、ともなかなか言いにくく、時間単価の改訂には様々な交渉術も必要になってきます。
できることなら、最初から目標とする時間単価は、クライアントに提示していくべきです。例えそれが満額受け入れられなかったとしても、それが「あるべき価格」なんだということを伝えておく意味は、必ずあります。
労働集約の限界を越える
そして、経営の観点から言えば、「労働時間」×「時間単価」という仕事だけをいつまでもしていてはダメです。労働時間が減れば収入が減るのは健全な経営とは言えません。極端な話、自分が病気をして労働できなくなってしまえば労働時間はゼロですから、収入もゼロになってしまうからです。
労働時間に関係無く入ってくる「ストック収入」をいかに作り出すか。人を雇うのかシステムを作るのか資産を持つのか、それとも仕組みを作るのか。そういうことに、時間を使っていかないといけません。そして、労働集約の限界を越えていくのでなければ、会社を作る意味はありません。
そういうことができている人とできていない人の差は、時間が経つにつれて大きく開いていくでしょう。それがまた、ストックビジネスの面白さでもあります。それでは、また。