夢とお金の専門家。シナジーブレインの安田 修です。
私は6歳の息子と4歳の娘の父親、というある意味「責任ある立場」からの起業だったわけですが、そういう状態からの起業には、大きく「収入」「時間」「世間体」という3つの問題があると考えられます。
収入の問題
誰かに相談しても、圧倒的に「会社を辞めるなんてとんでもない」という意見が多いでしょう。親身になって話を聞いてくれる人ほど、「冷静になって、考え直せ」という反応が通常です。
家族を路頭に迷わせるのは、人として絶対にやってはいけないこと。当然です。私の父親も、必ずしも好ましい上司・同僚や、やりたい仕事ばかりではなかったと思いますが、じっと我慢して仕事を続け、大学まで出してくれました。そのことには、心から感謝しています。
ですが、今は情報のコストと起業のコストが劇的に下がり、起業をしても少しの工夫で安定した収入を得られる時代になってきています。もう少しすると、起業が当たり前、という感覚の人も増えることでしょう。ゲームが変わりつつある。そのことにまだ気付いていない人に相談しても、正直言って無駄です。
例えるなら、サッカーをしている人に「これ、ボールを手で持って走ったら面白いんじゃないの?」と相談しているようなものです。相手は真剣にサッカーに取り組んでいるので、「馬鹿なことを言うんじゃない!」と怒りだすことでしょう。ラグビーの面白さを伝えるには、実際にやってみてもらうしかないと思います。
収入の問題に関して他人の理解を得ることはある程度、諦めましょう。自分のビジネスモデルできちんと家族を食べさせることができるか、どちらがより自分と家族にとって幸せかということを良く考えて、決めるだけです。不動産投資をしたり、資金を貯めて開業資金や当面の生活費を準備したりする、事前の備えも大切ですね。
時間の問題
仕事をしながら起業を目指すには、平日の夜間、土日を費やすしかないのですが、このことは家族に負担をかけます。奥様が許してくれない、という人も多いでしょう。これから多くの人を巻き込んでビジネスを切り拓いていくなら、最初に説得すべき相手は奥様です。最も身近な人を説得できるだけの情熱や事業プランが必要ということです。
人生が一度しかないからこそ、後悔しないように生きようと考えて起業をするわけですが、一方でかわいい子どもと過ごすことができたはずの時間を使って起業準備を進めていると、正直、葛藤もあります。
私も、息子に「今日は土曜日なのにどうしてお仕事なの?」と聞かれ、新しいお仕事をやっているんだよと答えたところ、「そしたら、遊ぶ時間が減っちゃうじゃん!」と言われてしまいました。もちろん、こちらが軌道に乗れば一緒に過ごせる時間が増えることになりますし、そのために頑張っている面もあるのですが。
早く、結果を出さないといけないと焦ります。一方で、結果を出すためには時間がかかります。ここは、家族の理解を得つつ、少しずつ、周到に準備をしていくしかありません。準備をするなら、レンタルオフィスを借りるなどして自分を追い込んだ方が良いのですが、これにもお金がかかりますから、家族の理解は必須です。
世間体の問題
それなりに「優良」と言われている会社に勤めているなら、親も安心しているでしょうし、奥様も実はそれをステータスに感じていたりもします。それを突然(でもないのですが)辞めて、わけのわからないビジネス(でもないのですが)を始めるということに、反対するケースです。
これ、意外にウェイトが高いんですよね。自分自身も、「この名刺が使えなくなったら、誰も会ってくれなくなるな」とは暗黙にわかっているものです。また、周りの人にバカだと思われる。それで失敗したら指を指して笑われると感じます。これが怖くて起業できない人は、案外多いんです。
しかし言ってしまうと、サラリーマンであることのステータス・世間体なんて、虚構です。「優良」な大企業に勤めていても、例えば、精神のバランスを崩せばそれで終わりですよ。会社は一生面倒を見てはくれません。更には、あなたがその会社に勤めていることも、世間の人は実はそれほど気にもしていません。
家族持ちであることのメリット
ということで、家族持ちが起業をするならば、「収入」「時間」「世間体」の3つのハードルをきちんと乗り越えていく必要があります。
ただ、この3つについて真剣に考えて起業をすることができれば、何も考えずに起業した場合と比べて、結果的にしっかりと地に足がついたビジネスモデルになっていることでしょう。事業の安定性も高くなります。いずれ必要になってくるポイントについて、あらかじめ準備をする必要に迫られる、ということに過ぎません。
ですので、家族がいるという制約条件は、より良いビジネスモデルを創り出すための機会と前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。
また、「とにかくお金持ちになれば良い」ということがゴールなら、家族はハンディキャップかもしれませんが、「幸せな人生を掴むこと」がゴールであるならば、家族は極めてプライオリティの高い、貴重な存在になります。なので私は本当に、家族がいてくれて良かったと思っています。
それでは、また。