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信用の器 フラスコ

「会社を辞めて起業する!」という友人に、何を伝えるべきか

長期的な視点であなたの夢を目標に変えて実現する、人生計画マスターコーチの安田修です。

仕事柄、起業の相談に乗ることは多いのですが、それが古い友人だとちょっとやりづらいものです。私の方が起業の先輩ではありますが、基本的に人間関係が対等なので、先生ポジションをとって上からものを言っても聞き入れてもらえないのです。これからも、会社の同僚や先輩なんかも同じ現象が起こるんだろうなあと思うんです。

あいつにもできるのだから・・・

昔から私を知っている人から見れば、起業をして生活をするくらいは誰でもできるように思うのではないでしょうか。私は「カリスマ性で人を惹きつける」わけでもなければ「才能が溢れてキラキラしている」というタイプでもありませんし、地味で普通な感じでしたから。まあこれは、今でも同じなんですけど。

大学や会社で一緒だった人たちは能力的にも私と差がありませんし。というか、能力的には上の人が多いようにも思います。ただ、起業をして成功するかどうかはまた、違う問題なんですよね。私もまだ「成功している」とまでは言い切れませんしね。サラリーマンよりはこっちの世界の方が向いていて、気持ちが楽ではありますが。

実際の起業の世界は決して楽して儲かるというものではありませんし、徹底的に考え抜いて行動して圧倒的な努力をしてもなお、失敗して全てを失うリスクは常にあるなと感じています。それでも、人生はその方が良いと思えるかどうか。そこが起業をするべきかどうかの分かれ道であるような気がしているんです。

反対されると燃え上がる恋心

友人に限らず自分以外の誰か「会社を辞めて起業する!」と言い出したので聞くと、準備不足であるように感じます。ビジネスプランや学び、人間関係づくりに資産形成など、仕事をしながらできる準備は全てやっておくべきだと思いますが、そこまで考えている人ってなかなかいないんですよ。私だって、完璧にはできていませんでした。

もっとこういうことをやってから、半年か1年くらい準備してからの方が良いとアドバイスをするのですが、大体の場合これは火に油を注ぐというか、起業に対する恋心を助長するだけの結果に終わることが多いです。もっとも、他人からちょっと反対されてやめてしまうくらいなら起業なんて無理なので、難しいところではあるのですが。

会社を辞めて苦労してから見えるもの

私もそうでしたが、一般的にサラリーマンは「商品を出せば売れるし、イベントをやれば人が集まる」と思っています。会社の看板を背負わない集客、それ以前の「人から信用してもらうこと」で苦労をしたことがないんです。自分でやってみて初めて、イベントに誰も来ない、商品が全く売れないという絶望を味わうことになるんです。

ここに独立前に気づき、実験できるのが理想と考えて人生計画フォーラムを作ったのですが、このメリットに気づくのは圧倒的に多くの場合、残念ながら起業をして苦労してからなんですよ。人間誰しも、能力が高い人ほど「他の人はそうかもしれないけれども、自分だけは特殊だ」と思うものなんですね。しつこいようですが、私もそうでした。

せめて、やっておくべきこと

会社を辞めるという決心そのものが覆せない、先延ばしにできないのであればせめてやっておくべきことは何か。有給休暇をフルに使ってビジネスプランを考え抜いたり、小さくても良いのでテストマーケティングをやっておくことでしょうか。あとは、ブログやメルマガなどの「集客のじょうご」を作り始めることも大切でしょう。

資産形成面だと不動産投資も選択肢ですが、半年くらい時間がかかりますから難しいかもしれません。せめてクレジットカードを作っておくべきですね。サラリーマンの最大の強みである信用力を活かしておきましょう。会社を辞めたら、誰もあなたにお金を貸してくれなくなりますから。家族旅行にも行っておきましょう(笑)。

大きな失敗をしないことが大切

「見切り発車で」起業をしてしまったら、とにかく焦って投資をしてしまわないことです。派手に広告を出せば売れるとか、高額の学びや最新の設備を導入すればお客さんが来るという焦りからくる勘違いをしないで、時間をかけて少しずつビジネスを拡大していくことです。キャッシュ(現金)は王様ですから、慎重に使いましょう。

少しずつ信用を得ながら確実にキャッシュフローを得られる堅実なビジネスを積み重ね、大きな損失を出さずに商売を長く続けられれば、良い出会いがあったり良いアイディアがでるタイミングも来るはずです。そこで手元に現金があることが大切です。変な話と思うでしょうが、現金がない状態では人からお金を借りることも難しいですからね。

それにしても、会社という安全な状態にいながら考え抜いたり完璧な準備をするのは、理屈としては正しいもののなかなか難しいことだなと実感します。人は追い込まれて初めて、真剣に考えるものだというのも確かに一面の真実ではありますよね。自分自身も「背水の陣」の力を使うこともあるので、全否定もできませんが。それでは、また。