長期的な視点であなたの夢を目標に変えて実現する、人生計画マスターコーチの安田修です。
ここ数日で複数の人が、「このままでは希望が見えないので、資産運用の方法を習うことを考えている」とおっしゃったので、思わずその考え方を全力で否定しました。このままだと騙されてしまうと思ったので、良心からです。資産運用のプロとして断言しますが、資産運用で人生を逆転することはできません。
人生逆転のロジック
サラリーマンをやっていると、頑張っても給料はそんなに差がつきません。年金をもらえるのは何歳になるかわかりませんし、一方で平均寿命は100歳になります。このままでは将来に希望が持てない。まずいと。はい、そうです。ここまで全て正しいです。気づくのが少し遅いと言いたくもなりますが、極めてロジカルですね。
ところが、ここまでロジカルに考えた人が、結論でいきなり間違えます。「だから、資産運用で勝負をかけたい」と。「勉強すれば株は(Fxは)ギャンブルではない、勝っている人はたくさんいる」と。ああ、ダメです。そのまま行ったら、資産運用の仕方を教える人と証券会社を儲けさせるだけです。
私の経験から言えること
あのですね、日本有数の機関投資家に15年勤めた私が夢も希望もないことを言うようですけど、世の中に「勝てる資産運用」なんてありませんよ。株もFXも不動産も債権も、超優秀なプロが「負けないように」しのぎを削っているマーケットです。それでも、安定して勝てるマネージャーは少ないんです。
そういうプロと正面からぶつかって勝てるはずがありません。素人に有利な点は2つあって、超長期的な視点で考えることができることと、負けたときに自分だけが責任を取ればいいということです。なので、バイアンドネバーセルで10年くらい持ち続けるか、負けたら死ねばいいと思って無理なギャンブルをするか。それしか勝ち方がありません。
短期の売買やチャート、イベントドリブンでプロに勝とうなんて、無理ですよ。同じ情報を分析して、プロより優れた結論を出せるとなぜ思うのでしょうか。私もかつてそうだったのですが、「自分は賢くて世間の人間は全部バカ」という奢り以外の何物でもない考え方が、勝てる唯一の根拠ではないですか?
「勉強すれば儲かる」の嘘
勉強すれば勝てる、儲かるというのも嘘です。「勉強すれば大きくは負けにくい」くらいは言ってもいいと思いますけどね。例えば株だと、過去の年間利回りの平均はせいぜい8〜9%です。きちんと勉強をして、リスク管理をきっちりして分散投資をすれば、平均8%くらいは稼ぐことができますよ、という話です。
「儲かる」の定義が年間8%ときちんと理解していればいいですよ。でも多分、違いますよね。短い期間で2倍・3倍・あわよくば10倍くらいにならないと「儲かった、勝った」と思えないのであれば、株では儲からないということでしょう。少なくとも、人生を逆転させるほど勝つことは、できませんよ。
一部の資産家がおいしい投資話を・・・も嘘
とここまで話すと「しかし、世の中には有利な投資話があって、一部の資産家がそれで儲けていますよね」とおっしゃいます。これも、嘘というか誤解です。世の中には、違法なインサイダー取引を除けば、有利な投資話っていうのは、ありません。ハイリスクハイリターン、必ずリターンに見合ったリスクがあるんです。
ではなぜ、資産家にしか持ち込まれない案件があるように感じるかというと、それがハイリスク商品だからです。リスクを理解し、またそのリスクを許容できる資産家や金融機関に、そういう案件が持ち込まれているだけのことですよ。本当においしい話があったら、他人に紹介をするわけがありませんよね。
私が金融機関にいて投資やその審査をしていてつくづく思うのは、一見おいしい話でも必ずリターンに見合う何らかのリスクはあって、プラスアルファで余計な手数料が上乗せされた商品しか存在しないのだなあということです。資産家なんてむしろ、プロに騙される対象でしかないと思いますよ。
人生を逆転するには
なので、投資を学んで人生を逆転することは不可能です。いちかばちかのギャンブルで逆転できると思うなら止めはしませんが、「勉強すれば儲かる」という幻想だけは捨ててください。騙されますから。普通に考えて、リスクを取らずに人生を逆転させるような手段は、あるはずがないじゃないですか。
だったらまだしも、起業の方がマシです。もちろんリスクはありますが、投資よりはリスク以上のリターンを期待できる可能性があります。それが危険で無理ならば、副業ですね。深夜や土日の空いた時間をアルバイトでもして、少しでも収入を増やすんです。節約や、奥さんに働いてもらうのもアリですね。
「起業は怖いから資産投資で稼ごう」みたいな矛盾に満ちた発想を、ロジカルなサラリーマンがなぜ持ってしまうのか、不思議でならない今日この頃です。資産運用は守りの手段、もしくはせいぜい年数%の資産増加を目指す、地味な手段です。大きく稼ぐには向きません。それでは、また。