夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。
私がサラリーマン時代、「こんな仕事を経験しても、将来何の役に立つんだろう」ということを良く思っていました。いずれ起業すると決めているなら、わざわざ地味な下積みとしての社会人経験を積まなくても良いのではないかとも感じますが、この点どうなのでしょうか。
今回は特に、若い頃の仕事を振り返りながら、そのことを検証してみます。
メルマガの編集
恐らくこれが、キングオブくだらないと思っていた仕事ですね。企業向け融資で、 会社として取引先に向けてメルマガを発行していたのです。担当者は毎週当番制で割り当てるものの、最後の編集というか、手直しを私がしていました。で、マンガみたいなんですけど、上司と法令遵守担当者の確認を取ってから送付するんです。
当番制で色んな人が書くので、文章力には差がありますよね。私も忙しいのですが担当の人も忙しいので、しばしば「オチがない」「何が言いたいのかわからない」レベルで第一稿が上がってきます。〆切まで時間があれば差し戻すのですが、こっちで直すことも多いわけです。そうすると、手間的には自分が書くのと変わらない。
業務を回しながら、ちゃかちゃかっと文章を直し、きれいなオチまで付ける。言うまでもなく、この時の訓練が今のブログ・メルマガに直接的に活きています。いやほんと、人生というのは何が役に立つかわかりません(笑)。
社内の説明
上司や関係者に説明に回るのも、決して好きではありませんでした。資料の文章の「てにをは」も徹底的に直されますし、偉い人に説明に行く場合には、偉い人というのはそれぞれに「心の琴線」があり、どんな質問が来るかわからないので、説明の直前にその人用の補助的な資料を作ったりもします。効率、悪いですね。
社内でこんな膨大なエネルギーを使うなら、その分をお客さんに向けたら良いのにと思っていました。いやこれは今でも思います。ただ、当時から感じていましたが、社内でそれだけ揉まれると対外的には余裕を持って当たれます。敵は社内にいる。お客さんって優しいな、っていつも思っていましたよ。
この時の苦労が、妻へのプレゼンとして結実するわけです・・・って嘘ですよ(笑)。しかし今、経営者の方などに対して何らかの説明をするときに必要以上に緊張したり恐れたりすることがないのは、この経験があってこそ、と感じます。
顧客向けイベント
取引先の役員の方々を集めて、盛大なイベントを行うこともありました。私がその取り纏めをやらされた(当時の感覚)こともあり、それはもう疲れました。講師の先生も偉いですし、来る人も偉ければ、迎える人も偉いので。当時の私は、「こんな雑用より、融資の実務のことをもっと深く知りたい」と考えていましたね。
会場を決めて、講師を決めて、料理や飲み物を決めて、動線を考えながらシミュレーションして、チームのメンバーにそれぞれ役割を割り当てる。役員や部長の挨拶原稿を作り、事前の説明をする。当然その間、通常業務をこなしながらです。どこまでやっても当日何かトラブルが起こるので、それに臨機応変に対処して。
ところがこれ、今まさにやっているイベント運営と直結しています。このお陰で、今の私は200名くらいのゲストを呼ぶ規模のイベントであれば、平気で運営できる感覚があります。
研修・勉強会の主催
社内の研修や勉強会の取り纏め、ファシリテーター、講師をやったこともあります。 もう多くを語る必要はないでしょう。当時の「雑用」が「本業の一つ」になった感じです。良く「コピー一つ取るにも、何が学べるか考えて、真剣にやれ」みたいなことを言う人がいますが、まんざら嘘ではないかもしれないと今は思います。
もちろん本業の方では、金融・財務の知識を積んだりファンドに出向させて貰ったり、営業経験や料亭での接待など、通常では得難い経験を多く積むことができました。これはサラリーマンに限りませんが、きちんと考えながらやっていれば、ムダな経験というのは無いものだなあと感じています。
サラリーマン経験は積むべきか
なので、サラリーマン経験は積むべきですというとシンプルな結論になるのですが、そこで失ったチャンスに関しても考えないといけないでしょう。私の場合は15年間(は長過ぎるのですが)、日本生命という会社で働くのではなくて例えば最初から起業をして、試行錯誤をしていたらどうなっていたでしょうか。
恐らくは、起業はあっさりと失敗をしていたと思います。それでもそこで何かを得て、次の挑戦に向かっていったであろうと思います。その後大成功するかもしれませんし、どちらが正解ということはないでしょう。しかし今の日本のシステムを前提とするならば、大学を出て新卒で大企業に入り、鍛えられることは合理的です。
なので私はあくまでも、少なくとも3年程度は大企業で揉まれて、お金も貯めてから起業に挑戦するのが良いのではないかなと思います。人生にムダな経験はありませんし、大企業でしか積めない経験というのも、確かに存在しますから。それでは、また。