夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。
経営者インタビュー第5弾、今回お話を聞かせて頂いたのは、CIN GROUPの篠宮社長です。35歳の若さで100名を超える企業グループを率いる総帥、篠宮社長はどのような点に着目をして事業を立ち上げ、成長させてきたのか。その素顔に迫りました。
株式会社CIN GROUPの事業領域
シナジーブレイン安田(以下Y):まずは、御社の事業について簡潔に教えて下さい。
CIN GROUP篠宮社長(以下S):当社は『多くの人々の「笑顔」のために、「感動」を届ける。』という経営理念の下、人材・IT・店舗サービスの3事業を展開しています。
最初は求人の広告代理事業を2004年10月、24歳の時にスタートしました。当初は3年で売上高約10億円になるなど順風満帆に成長していたのですが、2008年のリーマンショックにより世の中の景気が停滞したため、景気の影響を受けやすい人材事業は、しばらくは厳しい状況が続きました。
その中で、リーマンショック前には70名近くいた従業員を30名弱まで減らしました。二度と一緒に働く仲間を切り捨てるようなことがあってはならない、また景気やメーカーの影響を受けない事業展開をしていきたいということで、2009年初くらいから多角化をスタートしました。
求人の広告代理事業においてWEB集客(SEO・リスティング)を自社内にて、運用し続けていたことで、WEB集客事業を行っている競合他社と同等のノウハウを蓄積しているという自負があったことから、それをサービス化しようとIT事業を開始しました。次に、人の採用と集客ができるのであれば、それを活かした事業展開、店舗サービスができるのではないかとリラクゼーション事業や美容事業に展開した、という流れです。現在、人材・IT・店舗の3事業の売上高は、概ね均等というイメージです。
Y:なるほど、3本柱ですね。もともとシステムや店舗展開に強い人材がいたということではないのですよね。
S:全くいませんでした。その時期は新しい事業に人を割り振る余裕も無かったので、私がプロジェクトリーダーとなり、社内メンバーの協力を得ながら進めたケースが多いですね。
Y:マッサージは何かご経験があったのですか。
S:いえ、マッサージは好きでしたが、経験はありませんでした。最初は、初期投資の掛かる店舗形態ではなく、ビジネスホテルに向けたサービス展開を行っていました。多くのビジネスホテルは、近隣のマッサージ店と提携して、指圧しか提供していないケースが多く、ここにチャンスがあると考えました。アロマやタイ式といったリラクゼーションサービスの認知が広がり始めているタイミングだったので、勝機と考え、参入しました。
Y:市場の穴、ニッチをついたということですよね。
S:まぁ、そうですね。世の中に全く無いサービスを生み出し、利益を生み出すことは難しいと思いますが、既に売上が存在するマーケットのシェアであれば、足りないと思われるサービスを加える、改善してあげることで、シェアが取れると考えています。
実はそれとは別に新しい、世の中に無いものも今後やっていきたいと思っていて、それは年明けくらいにリリースできると思います。中身はまだ秘密ですが、システム関係ですとだけ申し上げておきます。
Y:新しい事業を開始するときに、人を集めるのが難しいのではないですか。
S:採用関連の投資を行えば、可能ですね。ただ事業全体を任せられる人は多くないです。当社の今の課題は、事業が多角化することで一つの事業を深く見切れないということです。多角化すると景気の波にも対応できますし、人材募集、IT支援と、お客様に多様な形で対応できるので、メリットはたくさんありますが、そういう課題もあります。会社が大きくなってくると、様々な価値観を持っている人が集まって来ますから、その中で公平性を確保しつつ、頑張った人を評価するという仕組みも必要になってきます。
創業の経緯について
Y:24歳で起業されたとお聞きしましたが、サラリーマン経験はおありなのでしょうか。
S:大学卒業後、1年2ヶ月だけあります。リクルートの代理店です。
Y:最初から起業を想定しての就職だったのでしょうか。
S:学生時代、就職はせず、起業すると考えていましたが、ある時「あまりにも世の中のことを知らない」ということを思い知らされました。そのため、独立を視野に入れつつ、3年くらいは就職をしようと決めました。その中で、リクルートは、とても優秀な方が多く、独立している方も多かったので、強く惹かれました。
そのなかで、リクルートの代理店を選んだ理由は、リクルートは優秀な人が多いのですが、規模が大きすぎて、企業の全体像が見えないのではないかという疑問がありました。その点でリクルートの代理店であれば、リクルートから出向している優秀な方も多く、リクルートと同じ研修も受けられ、規模も100名強の会社であったため、企業全体感が見え、権限移譲も早いのではないかという思いで就職を決めました。
ちなみに、何の事業で独立するのかを決めていなかったため、多くの業界と接することの出来る事業に携わりたいと考えました。かつ、できるだけ取引先企業の上役の方とお会いできるような業界が良いと。そう考えると、金融関係か人材関係ですよね。で、金融だと下積みも長くて時間がかかるイメージがあり、3年でどこまで吸収できるかというと、人材関係の仕事が良いと考えました。
Y:私も同じように、世の中のことを広く知るには金融だと考えました。確かに、納得いくまで学ぶために15年という時間がかかりましたが(笑)。しかし、3年間は勉強とお考えだったのにも関わらず、実際は1年2ヶ月で起業を決断されたのですね。
S:まず、営業で1番を取るという目標を立てて、1年でそれは達成しました。では次にマネジメントをやらせてくれと言ったところで、経験1年では当然ながらやらせてもらえませんでした。新しい営業のやり方を提案しても採用されなかったりもしました。
同時に、たまたま個人的な株式投資がうまくいって、300万円の自己資金ができました。大きな金額ではないですが、一応これで起業はできるなと。条件が揃った感覚ですね。
あとは、あまり言っていないことなのですが、実は当社は最初EC(ネット販売)事業でスタートしました。ECビジネスで成功する方法に気付いたということも独立をした理由の一つです。
当時、某化粧品会社がECで大成功していたのですが、色々と調べた結果、「返金保証」が大きなポイントではないかと考えました。今でこそ、この保証を取り入れている企業も増えましたが、当時はあまり目にすることはありませんでした。
返金を保証することで、商品に対する絶大な安心感と自信をお伝えすることが出来きます。日本人の国民性からも、余程の不満がない限り、返金を請求する人はほとんどいないでしょうし、送料だけは、ご負担頂く形を取らせて頂いたので、実際、短い期間ではありますが、返金保証を求められたことは一度もありませんでした。このやり方でECを始めたところ、初月からサラリーマンの給料を超えるくらいはすぐに稼げました。
しかし、このビジネスにはすぐに疑問を感じました。「プチプチ」の梱包材を仕入れて、郵送先を書いて梱包してという、地味な作業を自宅でこなして、かつ売上が大きくなるイメージがあまり描けませんでした。確かに給料分くらいはすぐに稼げるのですが、億円規模の事業をやりたいと思っていたし、求人関係の方がもっと稼げるという確信がありましたので、ECは早い段階でやめました。
Y:代理店で提案された新しい「営業のやり方」とは、どのようなやり方ですか。
S:当時、ネット媒体の求職者の採用ページには必ず、人事の採用担当者のメールアドレスが書いてありました。それなのに、どこの求人企業も、「とにかく電話をして人事担当者にアポを取る」というやり方しかしていませんでした。正面からお願いしては受付で断られている。人事の担当者に直接繋がるメールアドレスが公開されているのに、なぜこれを使わないのかと。このやり方でやるだけで、売上はどんどん伸びると思っていました。
あとは、リスティング広告が求人広告関係は一社も出していませんでした。なので、単価が最低の9円で全ての媒体名に関するリスティング広告が出せたので、事業を立ち上げたあとはリスティング広告を出すだけで申込が殺到しました。テレアポをする時間もなく、問い合わせに対応できる人を育てるだけで手一杯という状態でした。
(後編に続く)
<プロフィール>
2003年03月帝京大学/経済学部を卒業後、某リクルート代理店入社。2004年06月同社退社。前職の経験を活かし、同年10月に求人広告代理事業を主軸とする㈱ゼネラルリンクを設立、代表取締役社長CEO就任する。(2014年09月退任)。
その後、ITやサービス業を中心に、複数の事業会社を立ち上げる。2012年07月、事業会社を管理するために、株式会社CINホールディングスを設立する。2015年4月に各事業会社をCINホールディングスに吸収合併させ、社名を株式会社CIN GROUPに改め、新たなスタートを切る。
現在、株式会社CIN GROUPの代表取締役CEOを務めながら、100%子会社である㈱ほぐし処、㈱フレジエの代表取締役会長CEOを務めている。