夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。
何を隠そう、私は資格マニアです。そして、「旧帝大」と言えば一応、高学歴であるとも言っても良いでしょう。しかしサラリーマン時代は、「資格取得の努力が正当に評価されない」と不満に思っていました。今ではそれも仕方ないかと思うのですが、その構造を明らかにしたいと思います。
サラリーマンは資格を取るべき
私の保有資格は中小企業診断士、証券アナリスト、AFP、ソフトウェア開発技術者、日商簿記2級、TOEIC800点、将棋アマ初段などなど。加えて、公認会計士やCFPを受験したこともあります。文系資格としてはかなり揃っており、胸を張って「資格マニアである」と言える資格を持っていると言えるでしょう。
会社に勤めている時には、資格マニアと言うのも言われるのも嫌でしたが、辞めて起業をした今、堂々と言えます。なぜなら、国家資格を含めて「資格を取っていて良かった」と思うからです。「人生計画」コーチングという商品開発にも、経営コンサルタントとしての活動にも、資格は活きています。
資格はその人が体系的な知識を学習し、身につけていることの品質証明であり、資格保有者のネットワークに参加するためのパスポートです。資格単体では就職が有利になることもあまりありませんし、儲からない、つまり収入が増えることは殆どありませんが、取らないよりは取った方が絶対に良いです。
多少勉強に時間をかけても、その費用対効果は悪くありません。ではなぜ、資格マニアは社内で肩身の狭い思いをしていないといけないのでしょう。そこには、構造的な理由があると考えます。
理由1:仕事で評価されない人が資格に逃げる傾向
一つには、残念ながら実際に高学歴の資格マニアには仕事ができない人が多いことが理由として挙げられます。資格への挑戦は大学受験の再現です。ペーパーテストが得意だけれども仕事では評価されていない人が、大学受験の栄光・成功体験を再現すべく、難関資格に挑むという構図があります。
更に、資格試験を言い訳に仕事を疎かにする傾向もあります。仕事中に勉強をしているなんてのは論外で、周囲からの目は厳しくなります。最大の問題点は、パフォーマンスを発揮するタイミングの先送りと言えるでしょう。まずは資格を取って、それを活かして将来、もっと大きな仕事で本気を出しますと。
今の自分が評価されていないのは不当であり、難関資格を取った本当の自分が将来、大きな仕事をするのでそこで正当な評価をして欲しい。そういう発想になってしまっている人は、恐らく一生、他者から評価されることはありません。そんなの、ただの逃げですからね。
理由2:難関資格を取った人が会社を辞めてしまう
一方、会社から見てちょっと困った傾向として、MBAや難関資格を取った人が会社を辞めてしまうということがあります。社内で資格取得は奨励しているのですが、税理士や会計士などの本当の難関資格を取った若手はすぐ辞めてしまう。海外留学に出して帰ってきたエース級の人材も辞めてしまう。頭が痛いですよね。
繰り返しになりますが、資格は取る方にメリットがあるんです。人生を豊かにするためには取得すべきであり、それを会社がわざわざ評価してあげる必要は本来、ありません。むしろ本音の部分では、エース級の人材が資格取得などで市場価値を高めるのは企業にとっては「痛し痒し」という感じなんですよ。
だから、一般的な会社は資格取得のために大きなインセンティブを付けることはできません。資格取得の奨励は表面的なパフォーマンスだと言ってしまっても良いくらいです。
理由3:滅私奉公を求めるのが会社の本音
で、理由2とも絡んで最後は本音ですが、企業は従業員に滅私奉公を求めているということです。資格を取って辞めてしまうくらいなら、取らなくて良い。勉強することによってパフォーマンスが落ちるくらいなら、仕事に集中して欲しい。一時期ならまだしも、常に資格に挑戦し続けている社員の存在は、正直微妙なんです。
そういう人のことを「こいつ、そのうち辞めるんじゃないかな」という目で見ているんです。それよりは、資格なんか取らずにサービス残業をして「必死に」仕事をしているアピールをしている人の方がかわいいし、安心なんですね。だから会社の本音は、資格なんて取らなくて良いと思っているんです。
こう言い切ってしまうと「会社とは誰か」という話になりますが、まあ一般的な職場の直属の上司だと思って下さい。もちろん中には意識高く資格取得を応援してくれる「できた上司」もいますが、個人・集団レベルの本音として、資格を取るくらいなら仕事を必死にやれ、と思っています。
それでも資格は取るべきなのか
従って、せっかく難関資格を取っても、それだけで会社から正当に評価されることは無いと思っていた方が無難です。一生会社にしがみつく覚悟と自信がある人には、資格は必要ではありません。社内評価と直結するものだけ選んで(例えばTOEIC)、賢く取りましょう。
そうではなく、将来起業を考えていたり、どこかで会社を離れた生き方をするかもしれないという人は、純粋に自分のために資格を取りましょう。自分のためになる資格を選び、自分のために勉強しましょう。そして、社内の評価は仕事の結果で勝ち取りましょう。それだけのことです。それでは、また。