人生計画であなたの夢を目標に変えて実現する、シナジーブレインの安田修です。
世界の人口は現在73億人と言われています。多分、おおざっぱな推計なので本当はもっといるのかもしれませんが、とにかくこれだけの数の人間が毎日、生命を維持できるくらいの食料を手に入れているということに驚かざるを得ません。それを支えているのは間違いなく農業であり、狩猟ではとても無理ですよね。
73億人の人口を支える食料
日本では人口問題というと「少子高齢化、人口減少のことだな」と連想されると思うのですが、世界的には人口は増え続けています。人口爆発ということで、2100年には世界の人口は100億人を超えると言われています。いやむしろ将来的には減るかも、という説もあってややこしいですが、それはここでは深追いしません。
確実に言えるのは、人口が増え始めた一つの大きな契機は、約1万年前に農業が発明されたためだということです。天然に存在するものを採取するだけではなくて、「これ、自分で育てたら良いんじゃない?」という発想。思い付いた人は天才ですね。食料がそこら中にあってタダで手に入るにも関わらず、手間ひまかけてわざわざ作物を育てようと思うなんて、相当な変人だったと思います。
たまたま動物も食べられる食物も何もない時期が何年間か続いたんでしょうね。で、仲間がばたばた死んでいった。かろうじて生き延びた天才が、「まず食料を保管する方法を考えよう、そして、それを自分たちで作れるようになろう」と考えたと。いや知りませんけどね。そういう逆境の中で、きっと発明は生まれたのだと想像します。
スモールビジネスは圧倒的に狩猟型
大企業はともかく、何らかの技術を持って一人か少人数でやっているようなスモールビジネスは、圧倒的に狩猟型なんですよね。畑を耕して、タネをまいて水をやって、育っていくのをじっと見守るような余裕はありません。そんなことをしているうちに、飢えて死んでしまうからです。とにかく今日を生きなくてはならない。
だから経営者は毎日、食べ物をもとめて野山を駆け巡るんです。異業種交流会に参加して、互いに仕事を紹介し合うリファーラルのメンバーになり、とにかくいつも仕事をくれそうな人に会っていないと落ち着きません。ある程度余裕ができたら農耕も良いかなと考えてはみるものの、とてもそこまで手が回らない。
いっそ誰も仕事をくれなければ「このやり方ではダメだ」と確信できるのでしょうけれども、100人と会えば1人くらいは仕事に繋がってしまうので、とりあえず今日も人に会おうということになってしまいます。そこそこ儲かってしまう、食えてしまうので仕事の仕方はいつまでたっても狩猟型です。
ストックとフロー
ここで言うところの、狩猟型のスタイルはフロービジネスであり、農耕型はストックビジネスであるということができます。今まで見てきた通り、フロービジネスがダメでストックビジネスが素晴らしいと、そこまで単純な話でもないんです。フローだけでも一生食べていける、稼げるならそれでも良いじゃないですか。
ところが問題は、「食料が全く手に入らなくなる時期」がいずれやってくるということです。それはリーマンショックなどの「天変地異」かもしれませんし、経営者の病気や加齢による狩猟能力の低下かもしれません。そのときに、毎年穀物が収穫できる畑を持っているかいないかは、致命的に重要なのです。
通常は畑を作っても、しばらくの間は狩猟と同じだけの生産量はありません。フロービジネスで100稼げるときに、目先は5とか10しか収入のないストックを育てるのはある意味、勇気がいることです。しかしそれが完成すれば、ストックからの収入は1,000にも10,000にもなり、しかもそれは安定しているのです。
ストックビジネス実践会
去る4月7日、㈱アットオフィスとの共催で『ストックビジネス実践会』を実施しました。同社の大竹社長は『ストックビジネスの教科書』の著者であり、ストックビジネスの第一人者です。本物のクライアント、実在のビジネスを題材に、コンサルティングの現場をナマでお見せするというコンセプトのイベントです。
先日の第1回は初回にも関わらず、「人材紹介業」という典型的なフロービジネスに対して、ストックビジネスを導入していくというチャレンジングなテーマに挑みました。当日はコンサルタントの大竹氏やファシリテイターの私だけでなく、参加者の方々からも活発な意見が飛び交い、2時間のイベントが終了したあともFacebookグループでは熱い議論が続いています。
ビジネスがフロー型からストック型にほんの少しシフトする決定的な瞬間を、我々は目の当たりにすることができました。人類は狩猟型から農耕型にシフトすることで人口が爆発するほど大いに繁栄してきましたが、ビジネスも同じなのではないでしょうか。ストックビジネスが革命を起こす、そんな予感があります。
『ストックビジネス実践会』は今後も「半永久的に」続けていきます。狩猟を続けているビジネスに、長い時間をかけて静かに革命を起こすために。それでは、また。