夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。
我が家では結婚当初から、財布の紐は私が握っており、財務大臣は私です(ちなみに、総理大臣は妻です)。何となく小遣い制が嫌だったのでそうしたのですが、今思えばこれは非常に大きな決断であり、小遣い制を採用していたら起業できていなかったと確信しています。
日本のお父さんのフトコロ事情
新生銀行の調査によれば、2014年の「サラリーマンのお小遣い調査」は、2年ぶりに金額が回復して、前年比1,115円増加の39,572円となりました。年代別の差があったり、意識の違いがあったりして読んでいくと結構面白いですが、ここでは大体4万円くらいの小遣いが平均だということを押さえましょう。
リーマンショック前は4万5千円程度だったということですから、アベノミクスで多少は改善されるのかもしれませんが、大した金額ではありませんよね。毎日ランチを外で食べていれば飲み会に何回か行って、終わりです。愛妻弁当の存在や追加で「お願い」ができるかなど、個別の事情はあるでしょうけれども。
まとめサイトによれば、夫が家計を管理している割合は2割程度。そこから共同管理を除いた分、すなわちお小遣い制を採っていると思われる家庭は5割近くに達するとのこと。ちなみに、おこづかい制採用の割合は、米国20%、中国20%、イタリア7%、英国6%(出典:週刊東洋経済2010年7月3月号)とか。
ランチで格安のハンバーガーや牛丼を食べ、部下に奢ることもできず、何か買いたいと思ったら奥さんに頭を下げる、せめて副業をして少しは自由に使えるお金を確保したい・・・。高校生じゃないんですから、日本のお父さんはかわいそう、と直感的に思うことは、こんなところからも裏付けることができそうです。
ああ、小遣い制、絶対反対!なぜ社会人として自立して、一生懸命働いて、結婚して家を建てて、挙げ句の果てに自分の給料の中から「こづかい」を貰わないといけないのか。若き日の私は「小遣い制にするなら結婚しない」くらいのことは言ったと思いますが、自分で自分を褒めてあげたいです。
お小遣い制によるメリット
とまあ、感情的に決めつけるのも何ですので、一応、かたちばかり小遣い制のメリットも挙げていきましょう。まず、奥さんの方が堅実な性格の場合、お金が貯まりやすいですよね。旦那さんが変な見栄をはったり、「宵越しの銭は持たねえ」みたいな性格の場合、奥さんが家計を管理した方が良いです。
以上。メリットはそれだけです。大昔は「ずっと家にいる専業主婦が役所に行ったり銀行に行ったりできて便利」というメリットはあったのかもしれませんが、今は時代が違います。オンラインバンキング、役所も土曜も空いています。そもそも、奥さんが専業主婦であることが減っています。
資産全体をコントロールしたり、投資をしたりということには、男性(役割的に外の社会に出ている方、女性が働いていて主夫なら女性、全てそのように読み替えて下さい)の方が向いています。金融機関に勤務している人の中には比較的、財布の紐を握る人が多いですが、この辺りの意識が高いことの現れでしょう。
お小遣い制によるデメリット
一番、恐ろしいのは自分に対する前向きな投資ができなくなることです。本を買ったり、高額セミナーに行ったり、起業準備や副業のためにシェアオフィスを借りたりという判断が、自分でできなくなります。相談して理解して下さる奥さんなら良いですが、費用対効果の説明を求められたりするともうダメです。
また、お金を自由にコントロールできないことでセルフイメージが縮小してしまうことも大きな損失です。自分ができることに大きく制限がかかり、そもそも起業をしたり、大きな仕事をしようという発想が奪われてしまいがちです。部下にお酒を奢ることも、時には必要でしょう。
日本のお父さんは財布の紐を握れ
というわけで、起業家は財布の紐を握れという記事にも書きましたが、大事なことなので繰り返し書きますね。あなたが人生のコントロールをしたいと思うのなら、資産は自分で管理しましょう。細かな日々の家計まで干渉する必要はありませんが、全体を理解しましょう。
お金のことを「面倒くさい」として避けたら、人生は他の誰かにコントロールされてしまいます。これは、家庭内のことだけではありません。会社を経営する上でもそうですし、サラリーマンとして仕事をする上でもそうです。お金を制するものがプロジェクトを制するのです。
とかく日本人はお金のことを考えることを嫌がります。男尊女卑の傾向があった日本社会において、ここまで小遣い制がはびこっているのは、実は今まで、奥さんにお金のことを「押し付けて」きたというのが実情でしょう。余計なことを考えずに、一生懸命仕事をしていれば何とかなった、良い時代でもありました。
しかし、これからはそうはいきません。自分の船の舵は、自分でとらないといけないのです。さあ、奥さんにプレゼンをして、財布の紐を握りにいきましょう!それでは、また。